ちょっと専門的な解説をしてみます。
なぜこういう現象が起こっているのかという概略の説明をしてみました。
詳細な診断から面の診断、面の診断から線、線の診断から点へ・・・。
こういう治療経気は普通、本治法(治本法)と思われがちですが、左側頭部にあった反応は標治法(治標法)です。
つまり治標経気は左側頭部にあって、標的になる経気は胃の十二指腸近くの右後下にあったということです。
それぞれの経気は局所経気です。
一般的には標治法は、局所的な治療と思われがちですが、治標経気と局所経気には経気の方向性に明確な違いがあります。
治標経気は、局所経気と局所経気の複合型です。
Aという治標経気から影響を受けるのはBという標的経気で、これらはどちらも異常経気の中心に向かう経気の流れがあります。
経気の方向は同じでも関連する部位があるのが治標経気です。
それぞれの局所経気は、治標経気も標的経気も外周から中心に向かって流れています。
局所経気の違いは、治標経気から標的経気に向かって流れる経気が存在しているということです。
治本経気は治本経気の中心から全身に放散するような経気の流れがあります。
その経気を治本経気と言います。
このあたりの区分をしっかり行わないと治療がグチャグチャになってしまい何が本筋なのかが明確でない構成になってしまいます。
だから後から帳尻を合わせないと駄目になる訳です。
術者が疲れる理由はこういうところにもあるということです。
局所経気は局所経気の中だけで終わっています。
つまり他に影響を与えない。
このあたりも鍼灸をやっている人の誤解があるように思います。
普通はそういうことも区分けせず、本治法ばかり脉診をしていますが、寸口の脈が必ず本治法の脈をあらわしているとは限りません。
局所経気の脉診は、もの凄く難しく複雑になりがちです。
そもそも治本経気がない症例も一杯あります。
こういう区分けをしっかり行わないで、闇雲に脉診をしても問題になりません。
また表面にでている異常と深部にある異常を両方意識しないと駄目です。
そのためにも大まかに骨膜内臓腱筋肉血脈(神経血管リンパ)皮膚という意識付けは最低でも必要な診断となるでしょう。
そこから解剖学的な詳細部位を調べることで病能をより深く把握することができるようになると思います。
つまり少数の刺激で全身に大きな影響があるということです。
特に複雑な局所経気の場合は、より鮮明に病能を捉える必要があるということです。
局所経気は中心に向かう経気ですが、中心に向かって異常経気が消失し、完全消失した時点で全身に影響を与えます。
つまり局所経気は複雑な治本経気と言えなくもない訳です。
だから局所経気の消失は治本法の治療よりかなり複雑で高度だと言える訳です。
痛いところに散鍼をするのが局所治療なんて思っているレベルの話しではありません。
こういうことを明確にしておかないと無駄に時間を過ごしてしまうことになるということです。
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