呼吸を観察するのは、胸からだけではありません。
背部や側胸部も観察の対象です。
背部の筋肉も当然ですが、呼吸に関与していますので、背中の緊張を調べることは、呼吸の状態を知る為にも必要です。
咽の異常を訴え、違和感を感じています。咽が炎症を起こしているようですが、右の背部の緊張がそれをあらわしています。咽も右側に強い圧痛を感じます。
触診してみると右と左で全く違います。
軽く圧力を加えると右の背部(肋骨)は沈み込まない。つまり、安静時に緊張しているということです。
呼吸は主に横隔膜が担いますが、横隔膜だけで呼吸している訳ではありません。
肋骨の間にある肋間筋も背部の筋肉も関係しています。
実は上肢の筋肉も僅かに関係があります。
手を後にやれば吸いやすいし、手を前にすれば吐きやすいという現象から推察できます。
咽の障害があると手首を痛めやすくなるのもこの関係からです。
手首の関節の一部分で緊張していたりします。
また母指の動きも悪くなったりします。
常に連動して協調運動をしている訳です。
そのことを知っていると、どのあたりに刺激すると、どのあたりに響くというのが自然にわかってきます。
鍼灸治療の醍醐味は、それぞれの器官の関連性から刺激することです。
経絡というのは、地道な身体の観察から起こった現象と言えなくもない訳です。
それをまとめる為には、もっと他の力が働いた可能性があります。
今回の専門家の勉強会ではそういう話もしようと思っています。
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