時間によって起こる症状というのはよくあります。朝だけ症状があるとか夜だけ症状があるというような場合です。
この方も夕方になると頭痛があって、上腹部の違和感のような感じがあるということです。 調べてみると右の鼻の異常があります。
頭痛と鼻はよく関連することがあるので珍しいことではありません。肩も首も右側です。右の鼻にスコープすると「血」の流れの異常で適応漢方薬は桃核承気湯でした。
桃核承気湯は、体力があって、のぼせ気味で便秘がちの人で月経困難や精神不安、腰痛、高血圧の随伴症状(頭痛、肩凝り、眩暈)のあるような方に効果的なようです。
症状からすると頭痛もあるので、桃核承気湯は教科書的に言っても合わない漢方薬ではなさそうです。次ぎには桂枝茯苓丸が適応になったので、同じ「血」の症状に対しての漢方薬です。
これでかなり肩や首、前頭部の緊張がなくなりましたが、更に効果的になるように抑肝散を追加しようと思って探したのですが所定の位置になくて、どこにいったかわかりません。しばらく待ってもらいながら漢方薬を探していると、前頭部あたりから首にかけて、かなり発汗し、どんどん症状が良くなってきたと本人が言います。
手まで暖かくなって上腹部の違和感もスッキリしたようです。 もちろん、その時は夕方ではなかったので頭痛はなかったのですが、漢方薬を持ってもらっただけで、発汗し頭もスッキリして、かなり楽になったという例でした。本人も驚いていました。
そんな馬鹿なと思うかもわかりませんが、実際そういうことがあります。私自身、予期していなかったことなので驚きました。そこまでの効果は期待していないのに、現象が起こってしまったということです。 これを単なるプラシーボと片付けて良いのか?
と思えます。
ご存じのとおり私は大袈裟な言い方をするのは嫌いですし、そんなことがあったから絶対だとか言うつもりはありません。プラシーボと言えばプラシーボなのだと思いますが、プラシーボを誘発することができれば立派な治療になります。
逆に言えばプラシーボを起こせないのであれば、治療家としては一人前ではないとさえ思っています。プラシーボをどのように引き出すことができるのかがわかれば立派な治療です。
それを何故否定するのか?
意味がわかりません。
きっと科学者気どりなんでしょうね。 人は、ホントに些細なことで身体が変わってしまいます。本質は些細なことでしか変わらないのだと思います。精神作用を含んだ生き物です。それならばプラシーボが使えない術者は一人前とは言えません。
物理的な現象だけを追求したところで、目的はその人の身体を良くすることです。
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