ずっと腰の痛みはあったそうですが、1ヶ月前から特に痛みが出たという例です。
整形外科に行ってレントゲンを撮ってもらうと重い荷物を担いでいた経験があるので、そのような理由から来ているのではないかとのことでした。 (意味わからんけど・・・)
ただ、既往歴は糖尿もあり、インシュリンも打っていて、手の末端をみる限り、指の関節もボコボコして、手の血色も悪く、あきらかに末端の循環不良もあります。また皮膚も荒れている感じで色も悪いという状況です。
あきらかに腰の痛みはあっても腰が問題だとは思いにくいです。たしかに腰には変形等があるのかもわかりませんが、それで痛い訳ではないだろうと思います。
脈は浮脈で長実という感じで強くなっています。かなり強い脈です。 何もしなくても突っ張るような痛みがあるということからも腰の異常ではないことはあきらかです。
一時的に腰に電気をあてたり、マッサージをすれば、それなりに変化はあるようですが、それで楽になっていく訳ではありません。
そういうことをすると余計に後から痛みが出やすくなる例と言えます。
一番の問題点は胸に血の流れの異常があることでした。胸にスコープを決めてみると圧痛は左肩、左腋窩、右胸椎下部全体にあり、触診上は腫れがあるという状態です。
こんな状態ですが、小建中湯と当帰飲子を順番に手に置いてもらうと腋窩から肩の緊張が完全に抜け落ちます。本人もビックリしていましたが私もビックリというか、なんでそんな漢方薬が適応になるのだろうと言う思いです。
小建中湯や当帰飲子は温補の薬剤で陰病期に使う方剤です。腰の痛みに使わないのが普通だろうと思います。 小建中湯は、桂枝加芍薬湯に麦芽飴を加えただけのものです。通常は小児の夜尿症や虚弱体質者の体質改善に使うそうです。
大人でも虚弱者の神経性腹痛にも使うことがあるようです。 ただ、面白いことに関連方剤として、黄耆建中湯があるのですが、これは小建中湯に黄耆を加えたものです。黄耆は皮膚の栄養を高める作用があるようです。皮膚の異常もあるので関係しているのかなぁ~と勝手に想像しました。
ベースになる方剤と言えなくもない訳なので、こういう方剤が適応になる虚弱者は思っているより幅が広いのではないかとも想像できます。
どこにスコープを向けるのか?
どの範囲内で調べるのかによって適応は変化してきます。同じ症状であっても枠組みが違えば、適応漢方薬も違ってくるということです。そう考えた方が自然です。
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