運動を掘り下げていくと、主になる運動と代償運動があります。ここに正常と異常を見分けるカギがあります。
鍼灸師の勉強をはじめて東洋医学を学んでいる時に脉診という診断法があることを知りました。腕の脈だけで、その人の症状や状態がわかるのか~。
凄いなぁ~と単純に学生の頃思ったのを思い出します。
異常がわかるのなら、どんな脈が正常で、どんな脈が異常かを知っていなくてはなりません。それがわからないのに脈を診ただけではわかるはずがありません。
脉診と同時に腹診というのがあり、お腹を触ると身体の状態がわかると言うのです。腹診には異常な状態が沢山書いてありました。
それに対して正常な状態は赤ちゃんのお腹だというのです。 これも非常に困りました。近くに赤ちゃんがいなかったし、赤ちゃんが来院したとしても、体調の悪い赤ちゃんのはずです。
それって基準にしてええの?
って考えたら、何が正常で何が異常かがわからなくなったのを覚えています。
赤ちゃんじゃなくても、体調が悪い人が来るところな訳です。そんな人の正常をどのように見つけ出すのか?
他の鍼灸師にも聞いてみたいなって今でも思ってます。
何をもって正常とするのか?
正常の基準がどこにあるのかで目標は決まってくるはずですし、術者の能力は決まってくると言っても過言ではないと思います。
血液検査で判断するのですか?
MRIですか?
それ全部パスしてガンになって死んでしまった人知ってます。何が健康で何が健康でないかを知ってないと、どこに向かえば良いのかわかるはずがありません。
高価な機器を使わないことも大前提だと思います。というより機器に頼らないことです。
これホントに重要だと思います。
何が正常かがわかっていなくて何故治療が出来るのか?
不思議で不思議で仕方がなかったのを思い出します。しかし、よくよく話しを聞いてみるとそんなこと考えたことのないベテランの術者が多いのは驚きです。
そして本当に正しいかどうかわからないのに脈が揃ったから正常だと言い切ります。腹診の圧痛が消えたから正常だと言い切ります。
もちろん、それにはそれなりの経験的な根拠があると思いますが、それを万人に再現することは不可能です。これは脉診や腹診を主体に教えている先生なら誰しも気づいているはずです。
脉診も腹診も受動的です。術者が決めるので、術者の能力に委ねられるということです。
術者が間違っていてもOKと言えばOKになる訳です。術者によって感じ方が全く違うのですから、それだけを根拠に良いとは言いきれないはずです。
そこが鍼灸の診断技術の難しいところです。
だからこそ、術者ではなく、被検者に決めさせることが何よりも重要なのだと思います。
被検者がどう感じるか?
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