気滞

 昨日は気虚に関して書きましたが、気虚があれば気実(気滞)がどこかにあるはずです。それでなくてはバランスがとれません。バランスと言いながら、気虚の体質だと言って処方はするのに、それに対する気滞はどこにあるとは言いません。 


また気滞の症状の説明にも疑問が残ります。気滞は、お腹の脹りや咽のつまり、食欲不振、嘔吐、下痢、便秘などがあげられると言う説があります。気虚も気滞も同じような症状もあり、症状だけで気虚か気滞か判定するのは難しいのではないかと思います。 


気滞は、精神症状も含むのでイライラや鬱感、寝付きの悪さ、頭痛、眩暈、のぼせ等も考えられるということなので、それを目標にするのかもわかりませんが、こういう症状は、自己申告なので評価が難しいと言えます。 

重複した症状や、それに加わった症状などもあり、どこから気虚でどこから気滞なのかを判定するのは高度な問診テクニックがいるのではないかと思います。 


足の痛みと腰の痛みを訴えていた方でしたが、気滞が首から右前頚部から顔面部にあり、気虚が左足にありました。右上と左下でバランスをとっていて右股関節に症状がでていると解釈できます。

足で虚して頭で実になっているという判断です。しかし、総合的には気虚とも気滞とも判定しかねる症状です。 イライラ感はあったのかもわかりませんが、頭痛や眩暈と言った症状はありません。食欲不振等もありません。このような場合は気の病ではないと考えるのではないかと思います。 しかし、身体の反応はあきらかに気滞が顔面部から前頚部に強くあらわれています。 そして優位なのは気滞です。


この首から顔面部にあった気滞を調整すると足の痛みも楽になり、調整前にあった股関節の内転屈曲や内転伸展時の身体の不安定さもなくなっていきました。

当然、左足の気虚の反応はなくなっています。変化は一瞬で、あきらかに症状は改善しているので間違いのない見立てだったと思います。 

また、気滞というからには、本人が気づいていないだけで、イライラや鬱感が本当はあったのかもわかりません。しかし、それを問診で引き出すのは困難なのではないかと思います。

なぜならあくまでも自己申告だからです。

そう考えると問診はかなり曖昧な診断だといわざるをえません。 


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