鍼灸治療の現状

アメリカでの鍼灸の立場ってある程度日本よりすすんでいるみたいですね。 

最近では、統合医療という形で西洋医学の短所を補完する形で健康維持を目的に鍼灸が人気のようです。 成人の50%が東洋医学を受けた経験があるともいわれています。 


他にもマッサージやヨガ等が人気のようです。 病気になってから治すのではなく、病気になる前にケアするという考え方が確実に出来つつあるみたいですね。 

それが何故日本では通用しないのか? 

これには政策も含めて社会的な環境が大きく関わっていると思います。


アメリカは日本のように医療保険が充実していないので自分の身体は自分で守るという考え方ができてきたのだろうと思います。 

それを政府も後押ししているというのが現状でしょう。手厚い社会保障は、ある意味個人の為にならないと私が考えるのは、こういう例があるからです。 

また学歴が高い人や知識人程、鍼灸治療を理解する傾向が高いというのも納得します。 

東洋医学はかなり思想的であり哲学的です。そして宗教を含みます。

教育が充実していないとなかなかそれを理解することはできませんからね。

大学病院でも鍼灸クリニックを開設しているというのですから日本との違いはあきらかですね。 


それが良いとか悪いではなく、鍼灸への社会的期待というのは大きくなっているという例です。 鍼灸治療の効果は、説明不可能な「気」という概念から来ています。

それは哲学を含んでいますので単純な言葉ではあらわせません。 また、実感を伴うものでなければならないのに学者が不必要に「気」への解釈を過大評価しすぎて日本では正しく伝わっていないのではないかと私は思っています。 

気が多くなったり少なくなったりはしません。その人の持っているエネルギーは一生変わることはありません。 人間におけるエネルギー保存の法則みたいなものだと私は思っています。 

元々エネルギーの少ない人は一生を通して少ないままです。無理をすれば壊れます。

しかし、繊細さはエネルギー量の多い人よりあります。どちらが良い悪いではなくどちらも長所と短所があるということです。

ただ、そのエネルギーにも片寄りは起こります。 エネルギーの片寄りでロスをしてしまうことが大きな問題です。

バランスをあらわしているのが陰陽五行説の陰陽と表裏という考え方です。 陰陽とは身体の部位で言えば腹側が陰、背中側が陽です。大まかに筋肉に置き換えれば屈筋群と伸筋群と言えます。 

表裏は読んで字の如く、表面と裏側です。皮膚の表層か内臓かの違いとも言えるかもわかりません。 


風邪をひいたとき頭痛がして熱があがり筋肉痛があるというのは、表面の症状です。つまり病巣は浅いところにあるということです。しかし、慢性化してくると微熱になったり、身体は動かせるけど本調子ではない。 などの症状に変化してきます。 

どんな状態になってもその人の中でのエネルギーは一定ですから足したり引いたりはできません。 

バランスをとっていくことしかできません。 つまり表面に病巣があれば、それを裏面に戻すことです。腹側に問題があれば背中側を刺激してバランスをとるということです。 それが鍼灸のテクニックであって鍼を無闇に刺すことが目的ではありません。 

的確に刺激することが必要であり、的確な刺激は少ない刺激であっても効果的ということが言える訳です。 日本で行われている一般的な鍼灸は背中に沢山の鍼を左右均等に刺して置鍼(置き鍼)をします。 しかし、目的がバランスをとることなら、そういう処置は効果がないというのがわかると思います。 つまり鍼灸の論理に反する訳です。 

逆にオーバードーゼ(過剰刺激)となって身体を疲れさせたりすることもあります。 一般的な患者さんは、基本的に自分の身体の異常を全く知りません。痛みというサインが出てからしか知ろうともしません。 

アメリカほど意識が高くないということだと思います。 御薗治療院に来院して貰うとわかるのですが、全く症状のない場所を押さえたり動かしたりされます。 

意外なところに痛みがあるのに気づいたりします。右と左の違いを確認して貰うことができます。 つまり、自分の弱点を知ることができるようになるということです。  


孫子の兵法に「相手を知り己を知れば百戦危うからず」という言葉があります。相手とは自分以外のことです。 この場合、細菌であったりウィルスであったり外部から入ってくるもののことですね。自分とはもちろん自分自身のことです。 

インフルエンザが蔓延していても自分の身体が充実していると罹りません。 自分自身の身体が充実するというのは、左右前後上下に過不足なくエネルギーが行き渡ることです。つまりどこにも緊張がないという状態です。 もちろん座っているだけで筋肉は緊張します。しかし、余分な力を使って座っている人と余分な力を使わない人ではエネルギーの消費量が全く違います。 

作業をする時の姿勢が余分な力を使わなければ疲れも余分に起こらなくて良い訳です。 これが自然治癒力が最大限になった状態と言えるでしょう。


よく鍼治療は何故効くのかという西洋医学的な答えで自立神経が調整されるからという言い方をします。 自立神経もバランスです。寝ている状態と起きている状態を同時にすることはできませんよね。寝ている時に完全に脱力して寝る。起きている時にはハッキリ覚醒して起きている。

これができれば確実に自立神経が働いていると言えます。そのバランスがうまくとれないと自立神経のバランスが悪いと言うことになります。 

科学的に考えると鍼を打った時に伝わる痛いという刺激は脳幹を通って大脳に到達するからだとも言われています。 でもそれは如何にも学者が頭の中だけで捻り出したような説明だなと私は思っています。 それならワザワザ鍼でなくてもトンカチでも指でも何でも良い訳です。

しかし、鍼を打ったときとマッサージをした時では刺激に違いがあります。 どういう伝わり方をすると効果的に神経を活性させることができるのか? 

ということをもっともっと研究する必要がある訳です。 そして鍼灸の上級者と初心者での違いももっと科学的に分析する必要があると思います。 

片寄った研究では、鍼灸の効果を本当の意味で再現させることは不可能でしょう。 

意識をするだけで人間の身体が変化するかを試してみるとあきらかに意識した時としない時では大きな違いが起こります。 

このことを研究しないで科学とは言えないと私は思っています。 そして決して鍼を打たなければならないということではありません。

ただ、鍼の効果は確かにあります。意識と合致した鍼刺激は物理的な刺激の鍼とは違い効果が全く違います。 つまり鍼灸は瞑想的でなければならないのです。 

それには意識を変革させる手法を使って同じ場所に同じ量の刺激をしても変化が全く違います。 その尺度を測る基準が科学的に存在しえないので、今のところ科学で説明することは不可能ということなのです。 

だからいくら統計をとっても正しいか正しくないかは、その人の個体差によって大きな違いがでます。 同じに見える刺激であってもAという術者では効果的に働き、Bという術者では効果的でない。 ということが起こります。 受ける側にも個体差があります。その中でどう変化するのかを詳細に調べなければ検証はできないということです。 

統計は、あくまでも天気予報のように何%の人は良いが後は悪いということです。 それでは人間を把握したことには絶対になりません。 

そもそも西洋医学と東洋医学をわけること自体に問題がある訳です。  


現代医学は相手のことは調べ尽くしますが自分のことをおろそかにし過ぎです。菌やウィルスのことは徹底的に調べ尽くしましたが、内部のことは考えません。 免疫というのは内部のことを考えようとしているあらわれですが、まだまだわかっていないことが多すぎて使い物にはならないというのが現状ですよね。 

もしそれが解明できればガンは世の中から消えると思います。 


統合医療の中に瞑想を科学的に捉えて効果をあげているということが書かれています。 しかし瞑想と鍼治療は同じことです。瞑想状態になっていなければ鍼治療は効果はありません。

うつや不安症の解消につながるとされていますが、その効果にも名前がつけられていて、瞑想、座禅、ヨガは前頭葉を刺激して視床下部や中脳、延髄に作用する。トップダウン効果というそうです。鍼は末梢から脊髄を介して視床下部や中脳、延髄に働きかける。ボトムアップ効果というような説明がされています。

平たく言えば刺激を末梢からするのか中枢からするのかの違いのようです。どちらも刺激できてこそ治療です。 この理論からいけば鍼治療を行いながら瞑想状態に入ればうつ症状や不安症状も改善されるということになります。 

時間をかけて治療する必要はありますが、そういう症状にも効果的です。 科学的説明を見ていると何か無理やりというような感じは否めませんが、アメリカではそれを認めつつあるというのが現状ということです。 

 

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