立ってみます。
歩行をする前の動作を行います。
「手で歩く6」でやったように横揺れと同時に前方向に体重が移動します。
踵の内側が起こりはじめです。
単純に左右に横揺れをするのならそうなりませんが、前方向に進むということを考えるとこのような位置が起こり始めの起点になるはずです。
波の起こり始めを作るためには起点が必要ですが、立っている時には土踏まずの中心に重心があるはずです。
これを一旦踵の内側までタメを作る必要があります。
静止したものが移動しようとしたら一度進みたいと思う方向の真逆のエネルギーを作る必要があります。
そこから横揺れに必要な小さな力を生み出し、それと同時に前方向にすすみます。
だから波になる訳です。
それから母指球のあたりでカーブして親指の先端の外側で踏み切るはずです。
意外に語られないのが、親指の先端の外側で踏み切っているということです。
親指の内側で踏切わけではありません。
親指の外側で踏み切ってしまうと足は外側に流れてしまい推進力が得られません。
これが怪我の元です。
しかし、足腰に問題を起こしている人は母指の内側で踏み切ります。
波のエネルギーが内側より外側に変化してエネルギーの損失をしているということです。
母指球は、重要なのではなく波の途中でありエネルギーの通過点でしかないということを知っていなくてはなりません。
ほとんどの解説は母指球が重要ということで終わっています。
指先の先端の波の エネルギーを無視しては歩行は完成しません。
足の裏にも歩行時に起こる波の軌跡と同じ軌跡が生まれるということです。
大きな運動を起こすためにはまず小さな逆方向への運動が重要です。
足の裏でこのような波を起こせないと前にすすむことができません。
本当は母指の末節骨と基節骨の関節の間でもう一度小さな波を起こしています。
説明がややこしくなるのでこのような書き方をしましたが、関節は波を変換する軸になっています。
だから経絡も関節をまたいで蛇行しています。
経絡の原図はそう書いてはないですが望触診すると蛇行しているのがよくわかります。
たぶん簡便にするために描き切っていないのだと思います。
皮膚を観察しているとこういう流れが見えてきます。
そこに鍼をあてて調整することでエネルギーの流れがスムーズに生まれ変わります。
鍼治療はそういう治療です。
深く刺して得気を得るのが目的ではありません。
そして古来の日本人が行っていたナンバ歩きもこの法則から逸脱するものではありません。
基本は片足を上げるということで歩行は成立します。
ただその動作を極限まで小さくした歩行がナンバ歩きです。
ナンバ歩きでは着物の帯が乱れないように歩行します。
現代の話しにするとポケットに手を入れて手を振らないように歩くと言われている訳です。
ポケットに手を入れて前屈みになって小股で歩行しても必ず身体の横揺れが起こります。
それを抑制するために上下の運動に変えています。
これはウェイクボードやスノーボードのブーツを履いた時と同じです。
横揺れできない状態を作ると上下方向にしか力が逃げる場所がないことがわかります。
その役割を肩甲骨あたりで行っています。
これが一見すると起こりの見えない動作となっていますが、実際にはタメも起こりもあります。
ただその動作があまりにも小さいためにわかりにくいということだけです。
人間の身体が動作をしようと思ったら必ず進みたいと思う方向と真逆の力がタメとなって起こります。
物体が移動するために必要な力なので仕方ありませんね。
極僅かな動きが大きな運動を作っているということを理解して貰えればOKです。
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