膝から下は重力の動揺度が少ないということですが、動揺度が少ない分異常を感知しやすく影響が大きいというのがわかります。
閉足立ちの立位で直立したままやや右前に身体全体を倒すと右足の外側で踏ん張っているのがわかります。
よ~く感じるとわかるのですが、右前に倒した時と左前に倒した時では同じ角度で倒れているのにもかかわらず足の筋肉の使い方が違うということを経験するはずです。
左後、右後も倒れてみると股関節までつかっている感じがする感じが起こったりします。
腰のあたりの筋肉も使っていると感じる方向もあります。
つまり身体が傾き始めた時、使う筋肉が右と左、前と後では違いがあるということです。
バランスという意味では同じであった方が効率が良いはずです。
膝から上は股関節や腰で動きを吸収できますが、膝から下は地面に近いので、あまり大きな変動は起こしにくいということです。
これを目安にして安定度を調整するということも治療の上で重要な目標です。
治療って何を治療目標にしているかによって、その効果は大きくなったり小さくなったりします。
通常鍼灸師は圧痛を目標にしたりします。
押さえて痛いか痛くないかというような指先の感覚です。
また腫れがあるかどうか?
しっとりしているのか乾燥しているのか?
など皮膚の感覚を豊かにしたりします。
それはそれで立派な方法ですが、患者には自覚させにくいという欠点があります。
そして術者によって色んな基準を設けているので伝えにくいという欠点もあります。
しかし、この立位でどう感じるかというのは患者さんの感覚であって術者の感覚ではありません。
患者さんがどう感じるかというのを優先させるとこういう診断方法です。
そして何らかの刺激を与えるとそれに変化が起こる。
ということです。
例えば頭に手をあてると傾きが変化する場合があります。
左後に倒した時に倒しにくいとか、上半身が固まった感覚になると言った場合、左側頭部に手をあてるとその感覚がなくなったりします。
右側頭部にあてても変化はないか少ない。
つまりここは治療の目標点にもなるということです。
立位静止時からやや倒れた初動の異常を見極めることで全体のアンバランスを知ることができるということです。
閉足立ち立位がゼロ点と考えるとそこからやや左前、右前、左後、右後に倒れた時が初動の初動になります。
全ての問題はここに集約されるはずです。
注意点は倒れても直立不動の状態を保つことが重要です。
痛みを目標にせず、この僅かな動きを目標に治療していくと身体全体の機能をあげることが可能となります。
視点を変えると見えてくるものが違います。
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