腰の痛みは様々なところに反射点がでます。もちろん肩凝りでもなんでも一緒です。
各関節にもでます。それがよく出現する場所があります。それは手背部にあって腰腿点と言われる穴がそれにあたります。
鍼灸初心者には、よく知られている反射点でしょう。適応があればかなり効果的です。
しかし、腰腿点を使ってもよくならない腰痛に必ず出会います。習ったはずのことなので、なぜ治らないのかな?
って思う訳です。
腰腿点を治療すると劇的に良くなることがあるので、腰痛が来たら好んで腰腿点を使ったりします。しかし、そうはイカキン!!
この状態は完全な初心者で方法論に頼っていますので、感じて治療している訳ではありません。
守破離(スパイラル)の守りの段階です。
うまくいったりうまくいかなかったりするので悩みます。
うまくいかないと自信を失います。そんなことを繰り返していると徐々に自信を失ってしまったりするのです。すると不思議なことに今まで効果的だと思っていた腰腿点が全く効かなくなったりするんですよね。
なんで~?
そういう方法論は、最終的には全て捨ててしまわなければなりません。
守破離(スパイラル)の破る段階が必ず来ます。
方法論はこの時点で吹っ飛びます。学生達に治療を教えているとこの時点で殆ど力尽きてしまうのです。方法論を吹っ飛ばせないと「守」だけになってしまいます。方法論に頼っているうちは、次のステップにはいけません。
大事なことは、何が問題になっているのかを瞬時に判断する能力です。 動き初めの痛みで腰もあきらかに腫れた状態でいわゆるギックリ腰のような状態です。
一番の反応点は、足首でした。足首でも第四指の異常があり、足背の外側の異常です。患側だけでなく健側は母指側の異常があり、患側は下腿後外側がものすごく圧痛があります。
この状態は患側の外側面(側胸部や側頸部、側頭部)の異常がつながってあることを示しています。
経絡はこのような現象をあらわした一部です。
この状態では、手首に刺激をするより先に足首の刺激をしなければなりません。足の第四指の刺激です。 ここを刺激する訳ですが、単純に鍼を刺しても良いのですが、それでは問題は解決しない(異常が残る)
奇経治療という方法を使って督脉という経路を刺激します。これは身体の後面の異常を整えると言われています。実は、第四指の後側面に異常があり、第四指前面にはなかったので、この方法を使いました。それに大腸経という経路が関係していましたので、合谷と手三里を組にして使うと足背の反応は消えます。
この組み合わせで座骨や仙骨の5番あたりへの刺激になります。大腸への影響もあるでしょう。
これを行うと椅子からの立ち座りをしてもらっても痛みがなく立てました。秒殺です。
腰の異常がどこにでているのかを明確に判断できなければなりません。それは仙骨の先端と座骨の座面の中央面です。 実は腰ではありません。
この刺激だけでも良いのですが、よく観察すると手首にも残像がありました。もちろんこれも最初に診断した時にわかっていたことです。もし腰腿点を最初に刺激していると、後先が逆になってこのような効果はでません。
つまり足首が最優位という判断が初見でできなければならないからです。 この優位診断をできないと、技術を覚えただけでは鍼灸治療はうまくなりません。
手首の調整を行うと更に肩の力を抜いて立ち座りができるようになりました。つまり痛みがないので逃げるような動作をしないで普通に立ったり座ったりできるということです。
そしてまだあります。首の一番上の骨の患側側が腫れて左回旋を起こしています。赤ちゃんを抱いていて傷めた腰らしいので、以前は健側の背中の痛みがあったそうです。その後患側側の腰に痛みが来たようです。
その話を聞いただけでも、一箇所が原因ではないというのがよくわかると思います。
このような判断を瞬時にできないと痛みをとってあげることができません。
判断ができるようになる為には基礎訓練がやはり必要です。そして、それは考え方にも影響します。どのように考えて取り組みをしていくかを最重要にしなければなりません。
この時点でやっと守破離の「離」という段階に近づきます。
「離」は「守」「破」を超えてこそできる芸当です。しっかり「守」をやれば、「破」や「離」にいけますので、そういう意味では、最初は方法論をしっかり学ぶというのは大事です。
ただそこに留まらないという意識を持っていないと「守」に固執してしまいます。できるだけ頭の柔らかいうちに「破」を経験しないと、「守」に拘り、そこから抜け出せなくなります。
「離」は、その方法論そのものを捨てて型を作らないということです。
私自身もなかなか「破」から「離」に行くには時間がかかりました。それほど人間は、記憶を大事に考え、記憶に頼ろうとします。記憶は機械に任せて、「破」から「離」にいく世界を作っていかなければなりません。
そういう時代になってきたということです。ホントに凄い時代だと思います。
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