東洋医学は「気」を問題にします。
しかし、「気」ってなんでしょう?
そんなもの目に見えないし、計測することもできないので、わかるはずがありません。
しかし、筋力検査では、それを何とか調べることができます。それを手がかりにして身体をみていくと色々わかってきます。筋力検査というと筋肉を使うと思うかもわかりませんが、筋肉を使った筋力検査で出てくる異常は僅かです。
東洋医学の基本的な気は、衞氣、営気、宗気、真気と呼ばれているものがあります。まだ他にもありますが、複雑にし過ぎると無駄なことが見えるので、まずは、これだけの気があり、病体になった時、これらの気がどう作用しているのかを調べます。
この前に紹介した抗生物質を飲んで動悸がしたという方の気の状態を調べて見ると、宗気が胸の中心で低下し、それが心臓と直接関係していました。つまり宗気が弱ったことで、動悸が起こったと言えなくない訳です。それと元気が胸のあたりで低下していました。
元気は肺と関係があり、肺の機能低下を起こしているとも考えられます。殆どの方は、風邪ひいたぐらいで元気が全くなくなるということは考えにくいし、そんな反応にはなりません。
それより機能的な衞氣、営気、宗気と言った気が部分的に停滞すると予測できます。
この方もそのとおりで、宗気と合わせて営気も腹部を中心に小さい範囲で気の低下を起こしていました。胃と関係がありますが、範囲が大きくないので、影響は少ないと考えられます。
胃腸症状はあまり起こさず、宗気の影響で動悸に来たという状態なんだろうと思います。抗生物質は下痢症状を起こすことがありますからね。
しかし、胃腸反応は以前からあるので、体質的なものも含まれています。
それより特長的なのが衞氣です。
衞氣は、体表面を覆い、外敵から身を守る気とされています。全ての気は体表面から観察することができるので、衞氣だけが体表面にあるとは考えにくいですが、確かに体表面の全てに存在しています。皮膚炎を起こすと衛気が低下しますからね。
この衞氣が、胸から顔面部あたりまで気が低下している状態を観察することができました。ここで面白い思考実験をしてみました。
抗生物質を飲んだと仮定して身体の反応を診てみました。すると衞氣が活性化します。つまり抗生物質は、衞氣に影響を与えて状態を良くすることがわかりました。
しかし、もともと心臓に問題のある方なので、宗気の低下が著しく起こり、全体としてマイナスに働いたということだと思います。だから抗生物質を飲んで動悸がでたんでしょう。
薬には作用と副作用があります。手技にも作用と副作用があります。起こる頻度は、西洋薬の方が直接的なので強いというだけです。
宗気の弱りも右側にはなく、左側にのみ起こっていました。
当然ですが、左胸や上腕、左側頸部には圧痛が起こります。それらが改善すれば、一応、調整は終わりにした方が良いという判断です。つまり完璧にはなくなっていない状態であっても呼吸も楽になり、姿勢も変化しました。それで十分です。
もちろん全て消失した訳ではありませんでしたので、全体的に減弱という状態ですから無理をすれば再燃します。当然、身体を休める必要のある状態と言えます。無理をしなければ、改善方向に向かうと予測できる状態と言えます。
しかし、必ず休める状態にあるかどうかは、その人の運とも関係してきますし、休まなければならない時期に、どうしても仕事で休めないということもあるでしょう。また、自分の身体に対する意識とも関係してくるでしょう。
これはいくら説明しても、修正することは不可能です。
当然ですが、それには治療は対応できません。あくまでもその人個人の問題です。
治療することはできても最終的に、休むことを決めるかどうかは、その人の意思次第です。どんな凄い治療家であっても、その人の決定を変えることはできません。
全てを治療しようとか、その人そのものを変えようなんてできませんから、あくまでも、その人を尊重するしかありません。たとえ、御薗治療院の評判を落としたとしても、その人が決定したことを尊重する。
それしかないでしょう。
この四つの「気」は面白い作用をするので、これからも調べてみようと思います。
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