症例1
今年最初の診療日に治療に来られた方のまとめ
痰がつまり、声がでにくい。
少陽がカギでした。
表面上にあらわれている少陽反応は、血管系の反応です。
しかも右だけです。
側頭部から側頸部、胸部、右手まで反応があります。
少陽は表面の反応であって、本来狙うべき反応ではありません。
それより、左腰部にある少陰の反応が複雑化していることが大きな問題になります。
左足母指、中足骨、中間楔状骨、距骨、腫骨、膝蓋骨内側、脛骨近位部前内側
という形で部分的に点在しています。
それと尾骨と座骨にも反応がでています。
これらはそれぞれに点在しているので、最近の異常ではありません。
それぞれに、問題が蓄積され残った反応です。
実は手にも問題がでていて、手の母指と舟状骨にも反応があります。
そして腹部から腰部、下腹部の血管系に集中しています。
足の問題と咳や痰が切れないという問題は、複雑に絡み合って存在しています。
つまり、症状の改善がされにくい。
ということを意味しています。
それでも少陽の反応がなくなるだけで、呼吸も楽になります。でも完全ではありません。
完全に良くなるということが高齢になってくるとできにくい理由はこういうところにもあります。
系統立ってない状態で部分的な異常が点在しているということです。
治療をし過ぎても駄目な理由はこういうところにあります。
症例2
目の症状と腰の痛みを訴えていた高齢の方も少陽反応が右側にでていました。
やはり血管系に入り、側頭部と側頸部、胸から腕の血管系に少陽反応がでています。
当然ですが肩の緊張もあり、背中も伸びにくい。
少陽の反応がなくなると自然に腰の痛みもなくなっています。
もちろん肩や首、目の症状も改善され、目が明るくなりました。
同年代の方で、同じ少陽の反応があってもその状態によっては治癒過程が大きく違います。
高齢だから治りにくいというのではなく、若年であっても前述した方のように異常反応が点在していれば、治りにくいし、系統立っていれば治りやすい。
ということが言えます。
系統立っているということは割り切りやすいということでもあります。
症例3
肩から上が全体的に重く、腰が立たないような感じで痛む(硬い感じ)
という中年の方です。
少陽反応は胸からお腹のリンパ系にでていました。
胸やお腹の緊張がなくなれば、肩から上の反応は消失します。系統立っているので、そこを狙えばそれなりに良くなっていくのが観察されます。
同じであっても同じでない。
人それぞれですから、それをできるだけ詳細に診察し、全体的に整合性を高めていくということが重要です。
症例4
高齢の方で、少し認知のある方
この方も少陽の反応がでていました。
しかし、頭部と頚部のみの血管系の反応です。背中の緊張も普段より強くでていた為、やはり生活が不規則になったことが、そのきっかけになっていると思います。
少陽の反応が、やはり循環不良を起こしやすい頭部に出るのは当たり前でしょう。
しかし、厥陰反応も同様に頭部にでています。もちろん足や臀部、手にもでています。
より複雑になった状態と言えるでしょう。
そんな状態を手技的な治療で全部改善させるというのは不可能です。それは薬であっても同様でしょう。ただ、表面にでている症状を、ある程度軽くさせると循環不良が少なくなり、緊張がとれ、身体が楽に動くようになります。
それは認知に対しても良い方向に働くと予測できます。でも体調不良を起こすと認知が進みやすくなるのは当然です。少しずつ進行していくのを、どのように止めていくのかが問題です。
それをどこまで止められるのかは、普段の生活にかかっていると思います。できるかぎり調整をして、体調を調える方向にいかせる。
それが私達の仕事です。
治せるものと治せないものがあります。それは当たり前の話しです。
症例5
左足に力が入りにくい感じで痛みはない。腰にも違和感がある。
という方です。
少陽反応が胸にでていますが、リンパ系の反応です。それが右頭と左胸、左膝にでています。
これが、左足に力が入りにくい理由になりますが、部分的に点在しているので、ちょっと調整しにくいという状態になります。
しかし、厥陰や少陰と言った陰側の反応はないので、陽側で複雑になった症例と言えます。
部分的な少陽の反応を丁寧に調整すると身体全体が楽になり、足の動きも楽になっています。
あと左手を前方に軽く引っぱると抜けるような感覚があったのですが、それも改善していきました。
この検査法は、とてもわかりやすく、研究会のテーマにしていけると思います。
見方を変えれば、違うものが見えてきます。
ヒントにしてみてください。
こんな調子で40人ぐらいの方を診てみましたが、全体的に少陽が何らかの形で影響している感じです。たぶん、これはしばらく続く反応だと思います。
少陽以外の見方をすれば、また違うものが見えてきますが、少陽を一つの目安にして、調べて見るとこんな感じです。
参考にして頂ければと思います。
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