なぜ私が足の前後左右の動きを細かく分析したかというと、今流行の古武術的歩行に疑問を持っていたからです。
昔から西洋的な歩き方と日本古来の歩き方では違いがあると言われています。
日本古来の歩き方では仙骨を立てない膝を伸ばさない。
と言われているのですが仙骨を立てないで膝を曲げてしまうと、明らかに膝の痛い人の歩き方と同じなんです。
膝の痛みを訴える人の場合は、出来るだけ膝や腰に、負担がかからないような歩き方になったから、あの歩き方になった訳です。
つまりなろうと思ってなったのではなく、なるべくしてなった訳です。
しかし、古武術の歩き方では、最初から、そのような歩き方を目指してるように思います。
そこで足腰の悪い人は、足に負担をかけていないのか?
という疑問が起こります。
身体を観察してみたら一目瞭然です。どう考えても足パンパン、腰パンパンで、しかも部分的な腫れがあり、全体的にも片寄った使い方をしているのは明白です。あれはどう考えても異常です。
この歩き方は、逆に足に負担をかけてしまう歩き方になるのではないか、と思っていましたが、私が数日間ブログにアップした前後の足上げを観察してみて、やはりそうなのではないかと思いました。
体重移動をさせない(片足に体重を残さない)で歩くということは、上半身の力を最大限まで使わなければできません。
かなり非日常の動きです。
元々上半身の硬い人が、この歩き方を下手に真似すると、痛みが増悪してしまうか、肩にうまく力を逃がすことができて、逆に楽になるか、のどちらかになるような気がします。
下手をすれば増悪、うまくいけば軽減
体を倒さないように歩くということは、ほとんど体重移動をさせないということです。
体重移動させない歩き方というのは、上半身の特殊な筋肉を使うはずです。これは体重移動させないで、体を倒さないで足を上げた時に起こる現象と全く同じです。
そうでなければ体重移動しないで片足に体重を残さない歩き方というのは、物理的に不可能だからです。
全ての動きを分析する場合、ゆっくり小さな動きをすることによって様々なことが分かってきます。
これは武術でも同じようなことを言っています。
早く動きたければゆっくり動け、さらに早く動きたければ止まれ。
という教えの通りです。
体重移動しないで、ゆっくり動くと、かなり上半身に負担をかけます。
足の悪い人が、そのことを知らずに足の形だけ真似すれば、どうなるか?
だから古武術的歩行を、形だけ真似するのは危険なのではないかと思いました。
逆にそういう歩き方をすることによって、体の不調を起こしてしまう可能性というのも否定できないと思ってしまいます。
一見、病態の人の歩行と非常によく似ている古武術的歩行の形だけを真似して、その癖をつけてしまうことは、本当に体を楽に動かすことになるのか?
とてもとても疑問です。
一時的には楽な動きにはなりますが、注意深く行わないと逆に身体に負担になってしまう動きになる可能性も否定できないなと思いました。
身体は全てが連動して動くし、その動きを作るのは意識です。
日々鍛錬して、会得しないと、危険な歩行の仕方なのではないかなぁ~と思っています。
まぁ、これは西洋的な歩き方にも共通します。
物理的には、西洋的な歩き方の方が効率は良いです。うまく歩くと楽に歩けたりします。リズムに乗って歩くとかなり効果的です。
どちらが良いとか悪いではなく、やはり身体に、どんな意識を向けて歩くのか?
それが何よりも重要だということですね。
私はそう思います。
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