伸展運動(後にあげる)は、あげた足とは反対の背中の筋肉をよく使います。
足の力を抜くと、これが顕著になります。
背中から、脇の筋肉も使って動かそうとします。脇のあたりの筋肉は、捻れを起こすために使う筋肉が使われる感じです。
なぜ筋肉名で言わないかというと、素人の方も見ているからというのもあるのですが、一つの筋名で言うとキチンと伝わらないからです。
専門的に言えば、前踞筋や大胸筋、三角筋、大円筋や棘下筋、広背筋も使っている感じですが、一つの筋肉単位で言えば正確ではありません。
一つの関節の動きをするために、一つの筋肉だけしか使わないなんてありえない。複数の筋肉であっても、その筋肉全部を使う訳ではありません。
これは昔から私が言っていることですが、これは絶対にありえないと思っています。
この話しに関しては、私の過去のブログを参照してください。
この内容は、肘関節屈曲時における上腕筋の動きです。上腕筋はあきらかに収縮が役割なのではなく、盛り上がることで上腕二頭筋を持ち上げて弓をひくような形になります。上腕二頭筋は単純な関節構造ですが、単純であるからこそ、筋肉の作用がよくわかるはずだと考え、エコーで観察してみた結果です。
しかもエコーで見てみると一番動いているのは上腕筋のトップのところなのです。全体が収縮するのではなく、まず先にトップが緊張し、上腕筋を持ち上げようとしているように見えます。
一つの筋肉内であっても動きやすいところとそうでないところがあるのではないかという仮説でもあるのです。
足を上げた時に使われる背中の筋肉は、代償運動とは違います。
意図的に主動作筋を使わないようにしながら動かしているので、逆に言えば、主動作筋を使った時点で代償運動と言えます。
自分自身の意識を筋肉(動き)に伝えることで、同じ運動であっても違う筋肉を使うということだと思います。
実は、後頭部や後頚部、前頚部の筋肉も使っています。
足の力を抜けば抜くほど、それは顕著にわかります。
そこで、このような動きを知ることは何を意味するかを考えなければなりません。
前に上げた時(屈曲)、外に上げた時(外転)後にあげた時(伸展)
という動きを極力、主動作筋を使わないで動かす訳です。
すると主動作筋以外の筋肉で、しかもかなり遠くの筋肉が働いていることを自覚する訳です。
これは、足の後側の筋肉の運動異常に対して、背部や腋窩周辺の筋肉を刺激することで状態が良くなる可能性があるのではないかということを示していると思います。
つまり、筋肉の関連として、足の伸展運動と対側の肩や背中周囲の刺激は末端である足に力が入りすぎた場合、有効な刺激となりうるということを意味しているということです。
鍼灸の話しで言うと、胆経筋、大腸経筋、小腸経筋、心包経筋の一部、肺経筋の一部、膀胱経筋と言った複数の経筋を使うことを考えなければなりません。
その中で取捨選択し、何が一番で何が二番かを考えて、はじめて完了する動きと言える訳です。
肉体を意識すると、より複雑になり、何がどうなっているのか訳がわからなくなってきます。
術者は肉体の反応に固執し、詳細に反応を追いかけていくと、必ずその罠に嵌まります。
私は何度もその罠に嵌まりました。
今でも嵌まっている訳ですが、詳細にみようとすればする程、逆に全体が見えなくなる。
全体というのは、詳細が見えないことです。
その方が都合が良い場合があります。
これは情報過多になった現代社会と同じ現象をあらわしているようにも思います。
情報が多くなれば、それで満足か?
その本当の意味を考えなければなりません。
しかし、詳細なことを調べることをやり続けています。
それが人間の定め!
矛楯しているようですが、だからこそ部分にも拘る。
部分に拘るから全体が見える。
全体が見えるから部分が見える。
それが面白いとも言えます。
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