呼吸障害

呼吸障害というと肺の機能が落ちた時に使う言葉ですが、呼吸シリーズで書いてきたように、よく観察すれば全ての人に何らかの障害はあるはずです。

完璧な呼吸ができている人は殆どいないでしょう。右と左では違いがあり、どちらかが不完全な呼吸をしている訳です。肋骨の動きが悪いところは、呼吸がうまくできていない所です。

だからと言っても酸素飽和度が落ちるぐらいの障害にはなりません。だから医学的には、呼吸障害とは認められません。


例えば右の肋骨下部の動きが悪い人がいたとします。それだけでは大きな障害は起こさないのですが、風邪をひいたり寝不足だったりして疲れがたまっていると、異常側の呼吸運動に負荷が多くかかります。右肋骨の異常があるので、右の咽も腫れやすくなるはずです。


右の肋骨下部の動きが悪いと胸椎の右回旋は、肋骨の緊張を起こしている高さで回旋運動も悪くなります。そこには何の臓器があるかと言えば、大きくは肝臓です。肝臓も呼吸の横隔膜運動によって大きく上下します。これは想像以上に大きく動いています。それはエコーで観察するとよくわかります。それぐらい呼吸は内臓にも影響を与えているということです。


つまり右の呼吸が弱ると肝臓の機能にも影響してくることが予測できます。横隔膜周囲の臓器というのは、横隔膜がしっかり動くことで「血」も「水」が流れやすくなるはずです。肝臓は「血」を沢山使う臓器ですし、化学工場と言えます。解毒作用が弱って、身体に不用なものが残りやすくなります。漢方などでは、それを瘀血と言ったのだと思います。

瘀血が身体のどこかで貯まり機能障害を起こすことも考えられます。右肋骨の動きの不調は、瘀血が貯まりやすくなるとも考えられる訳です。もちろん、それが足に影響がくるかもわからないし、手や肩にくるかもわからない訳です。だから足や手の痛みであっても問題は右肋骨の動きかもわからないのです。


左の肋骨下部なら胃が近くにありますので消化機能に影響を与えることも考えられます。呼吸は単なる酸素を取り込む機能だけではありません。他の臓器の運動も助けている訳です。横隔膜によって肝臓や胃、膵臓、腎臓、腸も全て動きます。骨盤内の膀胱にも若干の影響を与えるはずです。つまり、呼吸運動が起こってはじめて臓器の機能を保たせていると考えられる訳です。


呼吸が弱れば、これらの臓器の運動能力も下がります。


ちょっと考えたら当たり前のことなのです。一生で長い時間止まらないのは心臓と呼吸です。重要な器官だというのは普通に考えてもわかりますよね。だから肋骨の動きを観察するということは生きていく上でとても重要なことなんだと思います。

その機能をあげていくのが健康維持にもつながる重要な観察だということです。


身体のどこを中心に観察していくのかというのは、とても大事です。動きを観察するだけで様々なことを予測し、そこから治療につなげていくことができるという訳です。

御薗治療院

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