坐位から立ち上がるだけで一気に血圧が下がり立っていられなくなるという状態でした。
以前も起立性障害の子を診たことがありましたが、ここまで酷くありません。
クラブ中に気分が悪くなり、嘔吐、微熱(37.5)がはじまり、熱中症を疑った両親が病院を受診させました。
CTもMRIも血液検査も消去法で考えられる全ての検査を行ったみたいです。
(ちょっとやりすぎな気もしますが・・・)
そして、起立時に低血圧になること以外の所見はないという診断を受け起立性障害となりました。
それまでは、普通の子同様に元気だったので、ご両親も動揺しているようでした。
そこで、ミドドリンを処方され服用しましたが、改善がみられず、当院を受診しました。
科学的と呼ばれている検査を全てクリアーし、投薬もしましたが改善されなかったということです。
状態を観察する為にベッドに寝てもらおうとしても立ち上がる時にもバランスを失うような状態です。
風邪から高熱を出した後の後遺症で四肢麻痺になった子供を以前みたことがありますが、「熱」が体内にこもると様々な不定愁訴が残る場合があります。
熱中症になって後遺症が長く残る人も結構な割合でいますからね。熱中症が怖いのは、緊急時の対応と、その後遺症です。緊急時の対応は、よく言われますが、後遺症のことはあまり言われません。
こういう場合は、必ず身体の機能的な状態をよく観察することが重要です。
仰臥位になると左肩がかなり浮き上がっています。
ご両親にも確認してもらうと、差に驚いていました。
身体が歪んでいるとか、そういうことを強調して言っている訳ではなく、自然な形で寝ているのに、あまりにも形がおかしいので、それを確認だけしてもらいました。
通常の起立性障害の場合、お腹に反応がでていることが多く、胃腸傷害があるのが普通です。
圧痛を診てもお腹や左胸には強い緊張があります。左胸が緊張してあがっている訳ですから当然そうなりますが、軽く触れる程度でも、かなりくすぐったい感じで身体を逃げようとします。
あきらかに背部の筋肉が弱っていることを示しています。
通常なら、この状態でお腹を刺激したくなると思いますが、お腹ではなく、左足を調整します。
膝下から足首までの後内側に縦ライン、また大腿の後外側の縦ラインにもテーピングをすると、それだけで、胸が下がって、ベッドから立ち上がってもフラツキがなくなり、足がしっかりつくようになりました。
本人もかなり自信をもったみたいです。
帰りは笑顔で帰って行きました。
大がかりなことをしなくても、やるべきことをやると身体の状態が変化します。
それでも変化しなければ、器質的な疾患を疑えばいい。
なんでもかんでもCTやMRI、血液検査という方法が優れていると思うのは、大きな間違いです。
貼ったテープはこれだけです。
大きな幅ではないので、これぐらいの幅で調整する方が良いです。また長さも走行経路も関係あります。これは望触診で明確にポイントを見つける必要があります。
それさえわかれば簡単なことです。
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