風邪もひきはじめの処置は大事だと思います。
いったん、熱があがってしまったら、一番大事なのは、睡眠と発汗、水分補給ですが、水分補給もガブガブ飲んでも意味はないし、できるだけ白湯のような分子運動のある暖かいものを少しずつ飲むのが良いと思います。
発汗は解熱のカギですが、ジッとしていないと、なかなか発汗しません。
身体を温めても、発汗できないと熱がこもってしまいます。
熱が出て、ある程度治まってくると腰痛や関節痛が起こったりします。最初から強烈な関節痛が起こる場合もありますが、これは身体の防禦反応です。筋肉で内臓に入らないように頑張っているんじゃないかと思います。
風邪の時の腰痛や関節痛は、なかなか手強いです。全体の調整をするだけでは、風邪の勢いに勝てないことが多く、複数の局所経気が身体中にでているので、それを丁寧に調整していく必要があります。もちろん、それも順番があり身体の示す通りに調整することが必要です。
また、風邪による腰痛は、鈍痛が多くて一筋縄ではいきません。寝過ぎで腰が痛いと言いますが違います。反応の深さは皮膚にでていることが多く、「水」「熱」の反応です。
局所経気は、主に八角形の経気がでて、その頂点を軽く刺激すると消えていきますが、頂点への刺激も順番が必要です。右周りに刺激することもあれば左周りに刺激することもありケースバイケースです。鍼灸治療の局所治療は、簡単に考えている人が多く、痛いところに刺鍼するという考えが殆どだと思いますが、局所経気は、至るところに出現しています。
以前、インフルエンザに罹患した後、右の腰痛で寝られなかったという例がありました。よくあることだと思いますが、全体の調整をしても、当然、各所に異常反応が残ります。特に左股関節から左足全体に緊張が強くでていて、足を刺激したいところですが、順番は、顔面部(鼻腔周囲)から右胸を刺激することでした。
つまり、その刺激をしないと緊張している左足の調整をやってはいけません。この刺激をしてはじめて左股関節の刺激が可能になりました。そこで左股関節周囲から、大腿外側、下腿外側、足背外側、臀部、大腿後側、膝、踵に八角形の反応を見つけ調整すると、次に左胸部の下部からお腹と刺激して、はじめて右側の刺激ができるというパターンでした。
(上図は、局所経気の例で、今回の例とは無関係です)
その後に右の臀部外側から大腿外側を調整し、坐位で身体がシャキッとしてきたのを確認したので調整を終了ということになりました。
複数の局所経気が出るのは、身体全体でウィルスを阻止しようとした結果です。正に満身創痍になります。必要な刺激というのは、順番と刺激量で決まります。それを見極めて刺激していくと薄紙を剥がすように身体が変化していきます。その後、腰の痛みも消え順調に回復していきました。
凄い症状を治すことが凄い治療家ではなく、こういう日常的な調整ができることが凄い治療につながるんだと思います。たかが風邪、されど風邪です。
ホントに身体って不思議で、システムがあるんだなといつも思います。神聖な身体を触らせてもらう仕事をしているのですから、できるだけ丁寧に刺激し、無理なく調整していかなければならないなと思っています。しかし、それはもの凄く難しい。
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