局所経気は、痛む場所ではありません。局所経気のある場所です。
全体の調整を行う治本法の脉診は、複雑にするのに、局所を脉診しないというのは、片寄った考えだなぁ~と思ってます。
しかし、局所経気の部位には様々な脈証が存在します。それが全身とつながっているのがわかります。
この動画でも前腕に局所経気が四角形のような形であらわれています。この場所に出ている体表面の四角形は、そこで終わりではなく、深く潜り込んで上腕から肩の前から胸、それと側頸部を通って、側頭部へ範囲につながっています。深く入り混んでいるから、つながっていることに気づかないと言った方が良いと思います。そして、右の背部から右足にまでひろがっています。つまり、局所経気のある前腕には、脈証として複数の脈が絡んでいます。
この局所から右の胃経の上部、右の肝経の腹部の位置と膝のあたり、右の腎経は足周囲、右の胆経は、臀部から大腿部、下腿部という形で、殆どが右側にひろがっていました。局所経気のある部位にこの順番で刺鍼することで経絡に影響し、最終的には、症状のある場所が緩んできます。
もちろん、右の前腕から左側の経絡に影響がでる場合もあります。当然、経絡が体表面にでてくる部分の話しで、殆どは深部を通っています。
きっと、局所経気がなくなると、それと関係する経脉を通って全身にひろがり、症状が改善し関節可動域も良くなっていくのだろうと思います。と言っても、下の動画でもわかるように範囲が狭まっただけです。完全になくなった訳ではありません。姿勢もまだ十分ではありません。
前腕の刺激しかしていなくても、それが経絡という何らかのエネルギーを通って、局所経気を中心に全体に広がり結果的に動きの悪い場所を改善していくということになるのだろうと思います。
できるだけ脉診を素早く行う必要があるのは、何種類も診断しなければならないからです。複雑な人になると、局所の経気があちこちに点在し、それぞれの一箇所で、何種類もの脈が関係していることがあります。
複雑な状態の人の作業はホントに骨の折れる作業です。そういう場合は、必然的に時間がかかってきます。それを手早くやろうと思うと頭をフル回転させなければなりません。もたもたしている時間はありません。
しかし、この方のように胸椎下部の片側が緊張しているとお腹が縮んで、しっかり呼吸が入らない状態になります。腰痛が呼吸とも関係するのは、風邪をひいても腰痛を起こす原因となることからもわかります。広い視野で見ていくと、腰痛の治療をしているのか呼吸を改善する治療をしているのかわからなくなることがあります。
生きていく上で呼吸はとても大事な生命活動です。体調が良くなると自然に呼吸は深くなります。自然治癒力というのは、そういう状態になってこそ発揮するものだろうと思います。
治ろうとする力は、エネルギーの過不足のない状態となって、重力に抵抗できる状態のことを言います。何を食べたから、何の栄養を補給したからと言って自然治癒力があがる訳ではありません。一時的に補助はできても、大量に入ってくる栄養素を処理しきれなくなり、逆に重荷になってしまうこともあります。それは鍼灸の刺激でも全く同じです。沢山刺激すれば効果があるかと言えばそんなことはありえません。
栄養素もバランスです。もちろん漢方薬や医薬品も沢山飲めば効果がある訳ではなく、バランスです。僅かなさじ加減で違う訳です。それを決められるかどうかが、専門家の仕事のはずですが、これこれの症状には、この薬が効くというのはナンセンスだな~と身体をしっかり観察していると、いつもそう思います。個人的にその刺激量は違うので、それを決めるのは、かなり骨の折れる作業ですが、難しいからこそやり甲斐があるし、失敗も成功もする訳です。
様々な失敗を繰り返してこそできるようになってきます。失敗のない成功はありえませんからね。
大事なことは諦めないことです。諦めたらやってきたことの全てが水の泡です。できなくていいけど、やろうとし続けることでしか発展はありません。
栄養をとっても、薬を飲んでも、鍼灸の刺激をいくらやっても、それを受け入れる状態になっていなければ、折角の刺激も吸収することはできません。
わかっているようでわかっていないことです。
0コメント