単純な作業と複雑な作業

単純な仕事ではなく、複雑な仕事をPCにさせたいと思ったら、複数の命令文やエラー処理を書かなければ正常に働いてくれません。

これと同じで身体も複雑な病なら、当然ですが、複数の命令文が実行されているはずです。その命令文を紐解き、実行させ続けているところにエラー処理を書き、そのループから抜けださせる必要があるということです。 

異常な身体には様々なプログラムが実行されているはずです。もし、その実行文が繰り返しをする作業なら、どんな時にその繰り返しを抜けるかというものも明記しておかないと永遠に繰り返しの作業をすることになります。 また予期しない現象が起こってプログラムがエラーを起こしてしまっているのにずっと実行し続けていたらどんな高性能で高速なコンピューターでも永遠に働き続けることになります。

症状だけを抑えようとするのは、エラー処理が必要なプログラムを実行させているコンピューターが壊れないように冷却装置を一杯つけて物理的にコンピューターを延命させる措置をしていることによく似ています。

無駄な痛み止めや長期間の抗生物質の投与もそれにあたると思われます。 プログラムミングは書くより保守するのに３倍時間がかかるとよく言われますが、どこでどんなエラーが出る可能性があるかをあらかじめ予測し、それに対するコードを書いておかなければなりません。そうしないとコンピューターが壊れるまで永遠に実行し続けてしまうこともあるからです。

病気は身体におけるエラー処理のない実行文だと考えると非常にわかりやすいと思います。 私達がよく使っているインターネットですが、あるホームページを見たいと思ってアドレスを入力し、そのホームページを表示するということだけなら単純な作業なので、あまりそういうエラーは起こりにくいかもわかりませんが、（もちろん今は複雑になっていますので、意図した結果にならないこともあります）会計処理のようなプログラムなら、実行し計算させて、その出力を得たいという場面が多くなります。

そのプログラムの中で円周率のような終わりのない計算をさせたら永遠に終わりません。 小数点の何桁で計算を終わりなさいというような命令を書いておかなければ、一生壊れるまで計算し続けるでしょう。 

身体もこれとよく似ていて、人間の思考が、同じようなことを繰り返している為に起こる堂々巡りの行動をどこかで止める命令文を書いておかなければならないということです。

鍼灸師の仕事は、エラー処理のコードを書いて、病気や症状が実行されたコードを中止させることにあると考えています。 だから強い力ではなく、弱い力でも十分効果を発揮するということです。