慢性的な腰痛

腰の痛みにもホントに様々な問題が隠されています。


小さい子の居るお母さんが、腰の痛みを訴えていました。 慢性的な痛みですが、昨日から痛みが強いとのことです。 子供を世話するのに辛いと訴えます。


反応を診てみると、陽明に病位があります。陽明に病位があるということは、寒が入って、胃腸部分に留まって慢性的になっていると考えられます。 あきらかに右腹部より左腹部の方が肋骨部まで緊張しています。

陽明と言っても、筋肉に入る場合もあれば、リンパ管に入る場合も皮膚に入る場合もあり、様々です。 その方は、筋肉に入っていました。

漢方薬で言えば三黄瀉心湯という瀉心湯類の漢方薬が適応で持たせてみると、後頚部から、背部、腰部、左側腹部から腹部の筋肉に入っていた陽明病の反応がなくなります。 三黄瀉心湯は、瀉心湯類なので、心窩部の違和感をなくし消炎性の瀉下剤と言えます。 

反応は筋肉に入っていましたが、上気して後頚部まで筋肉の緊張がありましたので、この処方で間違いないだろうと思います。 


ただ、私は鍼灸師なので、漢方薬は、手に持たせて検査をして、その人の傾向をみるだけです。飲ませることはできませんので、それを鍼灸の治療に変換して調整します。 

経筋系の調整が適応だったので、筋肉に対しての鍼灸治療を行いました。経筋系と言っても、十二正経の経路と同じ経路を違う形で通っているというだけです。


三焦経の周囲に調整ポイントがあり、左右の外関を調整してみました。 すると漢方薬を持った時と同等の効果(やや鍼灸の調整の方が強い)があり、上半身の緊張が一気になくなりました。 また、調整した時点で三黄瀉心湯を持たせると、腹部の緊張が復活します。これは、三黄瀉心湯が必要ない状況になっていることを示していると解釈できます。

当然ですが、右の腹部には持たせても何の変化もありません。つまり、効果のある場所にしか作用していないということをあらわしています。一つの筋肉だけで調べるのではなく、全身の筋緊張を調べると、漢方薬の作用も副作用もよくわかります。


もちろん、これで腰の痛みが全てなくなった訳ではありません。

陽明病に入った異常が一番強く、それを消去したというだけで目的の腰痛にアプローチした訳ではないからです。 ただ、陽明病の調整をしておかないと腰にアプローチしても良くはなりません。なぜなら陽明病の方が全身に対して影響力が強く、それを除去しないと腰だけでは不十分だと言えるからです。慢性的な痛みで何をしていても痛むという腰痛なので、腰を意識した調整だけでは何の役にもたたないということです。こういう痛みは痛み止めも殆ど効果はありません。


冷えには注意をしてもらいながら、腰だけを動かす動き(殆ど動かない)を指導して終えました。 

他にも左膝や、お腹の調整(胃)を行い痛みは軽減し、殆どなくなっている状態です。こういう慢性的な痛みは、治せそうでなかなか治せません。 


なぜなら、奧の方に残る感じがあるからです。また、生活習慣にも大きく影響してくるので、ちょっとした動きを習得することが早く痛みから逃れるポイントです。奧に残るような痛みは、皮膚の問題であることが多く、軽く皮膚を撫でるようにしてあげると改善していきます。 僅かな動きも含めて、どう動かせば良いか微妙にやっていくことが大事です。  

御薗治療院

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