人と人の距離感

人と人の距離の話を患者さんと話していました。 

肩こりがひどく幻暈もあるという患者さんですが、鼻の辺りから目の上あたりまで異常反応があります。 そこに、手を当てると当然、肩の緊張が緩み肩凝りが楽になるのを確認したのですが、完全な柔らかさというのではなく残る感じでした。


完全に柔らかくならないのは、距離が関係あると思ったので、当てた手を、どんどん離していって、空間上に手をかざした訳です。1mぐらい離して手をかざすと、異常な緊張が完全に緩み、肩のコリが楽になっていきました。もちろん、本人も自覚しています。


常識では考えられないことですが、人は、自分以外の何かと常に関わりを持っています。その何かが異常を起こすことで、身体が緊張するということが考えられます。 

この話は以前にもブログで何度かしていますが、ウソのようなホントの話です。 この現象を見せた時、その患者さんが非常に驚いたので、この前に観た映画の話をしました。 それは、山崎豊子原作の不毛地帯という映画ですが、1967年に作られた映画なので、その当時の生活習慣みたいなものが顕著に表れていました。 


特に玄関で、来客してきた丹波哲郎と主役の仲代達矢の家族とが話をするシーンがあるのですが、人と人との距離が非常に近いのです。昔は、住居も狭いですから、当時は普通のことだったのではないかと思いますが、今では考えられないほど近いのです。 

当時は、有名な映画で、ゲストもスペシャルですので、体裁を考えれば、もう少し違うシーンになっても良かったのではと思いますが、昔の生活を考えると、決して珍しいことでもなかったと思います。 またテーブルを囲んで、食事をする場面では、5人が小さなテーブルで食事をして、仕事の話もしています。 こんなシーンは今の映画には絶対にありえないシーンだと思うのですが、当時は、それぐらい人と人との距離が近かったのではないかと思います。 


それを見て、濵井先生と二人で大笑いしてしまいました。 人間の身体にはテリトリーというものがあって、相手との距離感によってその相手との親密度が分かります。そして、そのテリトリー内にある人の影響を受けて肉体が変化しているのです。 これは親密になり過ぎても希薄になりすぎても問題が起こります。

家族の親密度が、当時は非常に高かったんだとわかります。家族が近かったので、影響も受けやすかったけど、お互いを守る意識は、現代より強かったことがわかります。しかし、現在は、リモートワークをするようになり、人と人との距離が、1年前より、さらに遠くなったと思います。


この物理的な距離の関係は、人に大きな影響を与えているように思います。 特に子供には、大きな影響があるのではないかと思います。人との距離感が違えば感じるものが大きく変化してきます。それは、単に言葉での情報交換ではなく、人と人が近づいてしか得られない肌感覚の情報交換です。

これは頭で理解するものではありません。この状況で、人の距離が変化してきたことは、個を見つめるには良いことかもわかりませんが、人と人が出会ってしか起こらない物言わぬ情報の交換は全くできなくなったと思います。オンラインでばかり情報交換していると、何か違和感を感じている人も多いと思いますが、 そういう理由からだと思います。


自分という存在は、様々な物や人によって支えられています。その結果、「個」が生まれているので、それが希薄になった現在では、逆にそれを大切に思う人が増え、今の世の中が、何かおかしいと違和感を感じている人が多くなったのだと思います。

それが良い悪いと言っているのではなく、そういう状況になっているということを深く認識して生活することが大事だと思っています。


そこで昨日のブログを再度読んで見てください。

御薗治療院

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