手書きのカルテにこだわる

先日、PCのことについて書いたので手書きのカルテがいかに大事か?

ということを力説してみたいと思います。

(^^;


私のように複雑な処理を頭の中で行う診断の場合、それを記録するカルテは必要不可欠です。

20数年前にリコーという会社から画像を読み込んでデータベースにするPCが発売されてました。

これ当時としては画期的でした。

リコーの販売の方が直接デモをしくれました。

スキャナーのスピードも速くてもの凄く欲しかったのですが、価格が300万

リースにしても何年もかかるのでやめました。


あれと同じ機能を持ったパーソナルコンピューターが自分で作れるのではないか!!

と考えたのがまずかったです。

あそこで300万を惜しんだために更なる出費がかさんでしまいました。

(笑)


そこから電気屋通いがはじまりました。

元々30年ぐらい前にPC9801VMという機種を買ってベイシックぐらいの知識はあったのでなんとかなるだろう。

なんて思ってましたが、甘かったです。


画像処理は、その当時はまだまだPCの処理速度が追いついていなくて苦労しました。

色んな機器を買って試してみましたが、なかなか思うようなデバイスに出会えません。

今では普通のこともその当時は全く駄目でした。


最初に手をつけたのがマイクロソフトから出ていたACCESSというデータベースソフトでバージョンも1.1だったと思います。

それから2.0に変えて少しずつ知識をためていきました。

何も知識がなく、専門でもないのでチンプンカンプンでなかなか進みません。

毎日頭の中は色んなことを考えているので発想だけはどんどん出てきます。

それを記録しなければ!!


と思っていましたが、イメージというのはなかなか形にはなりません。

ましてやそれを数字や文章に置き換えるのは現実的ではありませんでした。

イメージを伝える一番良い方法は絵ですよね。

そうなんですよね。

つまり手書きがもっともイメージに近いのです。


私が何故統計が臨床的に役に立たないと思ったかは、このデータベースの知識と経験があったからです。

言葉にすると自分のイメージと解離します。

言葉なんだけど、イメージとは微妙に違うのです。

もし言葉だけでイメージを表現しようとすると多くの言葉を使わなければなりません。

忙しい診療の中では絶対に不可能です。

データベースは言葉を界層にして蓄積したものです。

でも生体の反応そのものを記録したいと思ったら微妙な記載が必要です。

これにはホトホト困り果てました。

データベースの勉強をしているのに言葉で表現して記録できないのです。


そこで思いついたのが、そのリコーの画像処理システムです。

イメージは手書きが一番伝わる。

それなら、手書きのファイル(画像)を沢山作ってそれをデータベースと対応させればええやん!!

って思ったのが2000年ぐらいだったかと思います。


さあ、そこから猛勉強です。

本を片っ端から読みあさり、インターネットを調べまくって聞きまくって・・・。

なんとか作り上げました。


手書きはアナログです。

データベースはデジタルです。

それを融合させる。


そういう柔軟性がないと本当に意味のあるカルテは書けません。

統計を見ていると何十パーセントの結果が出た。

なんて書いてありますよね。

何十パーセントの人は良くなったかわからないけど、それ以外の人はどうなった?

というのはないんですよね。

無視ですかね?


私から見ると、そんな格式張ったデータなんて臨床ではなんの役にも立たない。

その隙間に入る人達の微妙な感覚は現場でしか伝わらないのです。

だからデジタルにすると本当の意味が伝わらなくなるんです。


電子カルテの開発に携わった歯科の先生が居て、電子カルテの製作をしたそうです。

完璧なカルテを作ってやっと運用までこぎつけました。

使ってみるとあることに気づいたそうです。

それは患者さんの顔が浮かばなくなったのだそうです。

顏も思い出せなくなってしまったと嘆いたそうです。

それで電子カルテを一切やめてしまったという逸話があります。


私も作って運用した経験があるからもの凄くよくわかります。

だから手書きに勝るものはないって思います。

それと音声データの記録と動画の記録

これに勝るものはないな~って思います。


今は音声をデータに変換してくれるAIがグーグルのサービスであります。

これなかなか使えます。

専門用語もある程度拾ってくれます。

でも同音異義語は話し方を工夫しないと無茶苦茶な内容になってしまいます。


デジタルとアナログの融合ってホントに難しい。

デジタルだけで出した情報は決して正しい情報じゃない。

だから、現場と統計がかなりかけ離れたものとなってしまうのだろうと思います。


それを無理やり現場に適応させようとしたのがエビデンスです。

エビ固めと言われています。

これはホントにいかがわしいとしか言い様がない。(笑)

人間はそんな単純なものではない。

数字であらわされる程、あなたの前にいる患者さんは、単純ではないのです。

それに医療者が早く気づいて対策しないと駄目です。


これをプログラムを通して嫌と言うほど思い知らされました。

何の根拠もなく言っている訳ではありません。

もっともっと現実を直視しないと患者さんは良くなりません。

良くならないとこちらを向いてもくれません。


病院では治らなかったという多くの患者さんが来られます。

そういう人しか来ないのかも・・・。

そんな患者さん達と向き合っていると医療難民が如何に多いかがよくわかります。

統計が悪い訳じゃない。

統計を利用することが大事なのであって、統計だけで治療しようとすることに無理がある訳です。

デジタルとアナログを駆使してもやっぱり自分で考えないと良いカルテはかけない。

良いカルテが書けないということは良い治療はできないということと同じです。


カルテを書くという単純な作業と侮ってはいけません。

治療とカルテを書くことは同じことです。

どんなことでも突き詰めて考えると同じなんだと思い知らされます。


御薗治療院

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