昨日の続きです

昨日話ですが、方法は簡単です。 

足首を内反せずにやや外反し、足底の面を床と平行にしたまま、足関節を背屈し、やや内旋する。 

もうひとつの方法は、母指の先端外側で床を軽く押すようにすることです。 


この動きをすることによって、前脛骨筋が弛緩し脛骨下部の圧痛を瞬時に緩解させることができます。 

本来は前脛骨筋を収縮させるような動きです。

これは、筋肉を使うことによって安静時に緊張していた筋肉が弛緩するという法則の通りです。 

つまり異常緊張してる筋肉は、その筋肉を使うことによって弛緩し、骨の圧迫や靭帯の圧迫による圧痛を消すことができるということです。 

圧痛は脛骨下部にでていますが、緊張は前脛骨筋にあります。

筋肉の異常緊張は、骨や靭帯にも影響を与えるということの証明になるのではないかと思います。 

つまりこの現象は、筋肉が内臓や血管、リンパ、神経にも影響を与えるという予測が立てられます。 

あくまでも予測でしかありませんが、この現象を利用して、筋肉の緊張とその周囲に及ぼす影響を考慮し、治療をしていくということが可能になってくる訳です。 

筋肉の緊張は何の気なしにする訳ではありません。 


身体全体を足首で支えている訳です。

内反優位の姿勢になり、外反ができにくくなっています。

足の位置は中心より外方向になって腰が引け、腰が引けることで肩が前にでて肩関節は内旋優位になっていきます。

つまり姿勢全体に影響を与えます。

このような理由から一つの筋肉の緊張が他の筋肉を圧迫し、神経や血管、内臓にも影響を与えることで様々な症状が出てしまうということがありえるわけです。 


症例

両手のしびれを訴えている方がいました。 

反応を診てみると、首には問題がありません。

神経の圧迫もないような反応です。

しかし、左の内外の肋間筋の異常が認められました。

しかも、第五肋骨と第六肋骨の間の一部のみです。 


横隔膜には影響はありませんでしたが鼻症状は慢性的にでています。

肋間筋の異常から横隔膜にも影響がでることで呼吸も本来の調子を失っていると思います。

腹直筋にも影響はありませんでしたが、これらの筋肉は緊張はしています。


肋骨下部の左側のみが筋肉の緊張によって胸やお腹全体が圧迫を受けて、猫背状態になり、筋肉の連鎖緊張が起こり首の血管を圧迫し、 上肢全体の緊張まで誘発していると判断しました。

これによって痺れを誘発していたのだと思います。

シビレは結果の一つでしかありません。

肋間筋の異常部位を軽く揺すって循環を良くすると手の痺れが瞬時に良くなってきました。 

右手の痺れは、左から来るものであって、放置しておいても良くなっていくものと思われます。 



このような例を観察すると、一つの筋肉の緊張が全身に及ぼす影響というのは計り知れないし、症状を訴えている部位のみしか観察しない診療方法では、このような症例には無力と言えます。   

思わぬところから影響を受けて思わぬ症状を引き起こしている。

それを知る為には、頭を空っぽにして、身体を観察すること以外方法はありません。


触診をして、胸やお腹が緊張しているところまではつきとめられるでしょう。

しかし、その主役になっている一部の筋肉を見つけなければなりません。

どう考えても通常の考察法では解決しない問題です。

しかし、原因を究明することができれば症状の緩解は一瞬です。

そうならないのは身体の本質を見抜けていないということになると思います。


物事はできるだけ単純に考えた方がうまくいきます。

単純に考えるには技術がいります。

その技術は自分で考えないことです。

自分で考えることで自分の知識の範疇からしか答えを導き出せません。

それでは既知のものは解決できるかもわかりませんが、未知のものは解決することができません。

知識に頼るということは自分の思い通りに事をすすめてしまう可能性があり問題を余計に複雑化させてしまうことが考えられます。


知識は大事なのですが、身体を観察する時には知識が大きな足かせとなって診断能力の足を引っぱるということを忘れてはならないということです。

御薗治療院

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