肺の解剖は臨床的にとても大事な意味をもっていると思います。
呼吸によって緊張が逆転(安静時緊張、吸気時弛緩)するところと肺の解剖を照らし合わせると色んなことがわかってきます。
右は上葉、中葉、下葉とわかれて、左は心臓の左心室が膨大しているためにやや左寄りに大きくなっていますので、その影響を受けてか上葉と下葉のみになります。
図をご覧になって頂くとわかりますが、背中側の胸椎10番から胸椎3番あたりまでの高さが肺の底部(肺底)となります。
ここが底って言われてもピンと来ませんよね。
前面は右は第四肋骨の高さから鎖骨内側1/3より2~3センチ上までが上葉、第四肋骨から第六肋骨までが中葉、その下が底部となっています。
左は上から第六肋骨までが上葉、その下が下葉になります。
肋骨を触れていくと安静時に緊張した場所がでてきます。
これによって肺のどのあたりに緊張があって呼吸が入りにくくなっているかがわかります。
例えば下葉のあたりで緊張しているから下葉全体が緊張しているとは限りません。
外科医は肺をもっと部分にわけて考えますが、細かい単位でわけてもその部分全体が異常を起こすという訳ではありません。
ホントに一部分のみの緊張ということも多々ありますのでよく観察する必要があります。
呼吸が入りにくいと精神的にも不安定になりますので精神状態を調べるのにも効果的になります。
肺の機能が低下することで上肢の異常を起こすこともあります。
首の安定性が悪くなり頭頚部の異常を起こすこともあります。
そもそも胸郭の動きが悪くなると腰や足にも影響がでます。
リハビリの考え方でも息切れをしてしんどい状態の人であっても下肢(主に歩行)が有効とされているそうですが、これも無闇に動かせば良いという訳ではないというのがこのことから考えてもよくわかります。
肺は呼吸をするところでもあるので、生命の源であるとも言えます。
肺の機能が低下し、緊張することで様々な症状がでてくることは容易に想像ができます。
だからこそ肋骨部の観察はとても重要な観察です。
最大吸気で緊張が緩む場所は安静時に緊張している場所です。
これによって肺のどの部分の機能が低下しているかがわかるということです。
肺は肺だけの機能では終わりません。
呼吸筋と呼ばれる筋群が関与して呼吸は行われているので内臓の状態と筋肉が直接結びつきやすい臓器とも癒えます。
もちろん、肝臓や胆嚢、胃、膵臓なども横隔膜の運動(呼吸)によって上下しますので筋肉の影響をもろにうけるはずです。
腎臓もかなり動きます。
それにともなって腸も動きます。
心臓は自分自身で動いてます。
これらも筋肉に問題がでたらすぐに影響を受ける臓器と言える訳です。
筋肉は全ての器官に影響を与えています。
人間は動物ですから当然と言えば当然です。
筋肉の状態を観察することで内臓の状態まで知ることができるというのは当然の結果だろうと思います。
肺は肩やお腹の方まで影響を与えている臓器といえます。
呼吸一つで状態が変わるというのも納得できますよね。
更に呼吸は精神と密接に関係します。
精神の変調がある人の胸の緊張は顕著です。
限定的であったり全体的であったりします。
限定的であっても力が集中し、深くなっていることもあります。
なかなか治りにくい状態といえます。
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