人間は不正確さがないと社会生活がうまくいかないことがあります。
例えば、ドアノブを捻ってドアを開けなさいという命令をされたとします。
ドアノブを握ってドアを開ける場合、そのドアノブがどれぐらいの力で開くことができるのかということを感じ取る必要があります。
実は、この作業はロボットが一番苦手とする作業です。 ドアノブの硬さは、その扉によって違います。固いドアノブもあれば柔らかいドアノブもあります。それを瞬時に判断しなければなりません。
柔らかいドアノブに強い力をかけてしまえば壊れてしまいます。 ドアノブに触れた時にどれくらいの力で、どの程度ひねれば、ドアを開けるのに必要な力が必要かを判断しなければなりません。
一定の力ではなく、途中で錆びて硬くなっているかもわかりません。その時は瞬時に力を変えて対応しています。そんなことは子供でもできることです。ただ力を出すだけではなく感じながら力を加えているのです。
人間が日常生活を行う場合、感じながら力を入れていくという作業をどれだけしているでしょうか?
あまりにも日常的すぎて気づかないだけで殆どの動作や作業が感じながら動かすということをやっている訳です。
キーボードを力強く叩いてしまえばすぐに壊れてしまいます。キーボードを使って文章を打つのに力はそれほど入りません。つまり人間は常に力を制御し、どれくらいの力が必要なのかを瞬時に感じとって、その作業に必要な力を筋肉に伝え体を動かしているということです。
もし、人間の力では不足だと判断したら、工具や機械を使ってそれを可能にしてきました。
このような感じとりながら判断し、作業をするというのがロボットにとっては、とても難しい作業と言える訳です。 これは人間が不正確にできているからこそ容易にできる作業とも言える訳です。
いかに不正確に物事を行うことが大事なことかがわかって頂けたかと思います。
今後、AIの発展によって人間がロボットに取って代わられるということは考えられるかも分かりません。しかし、人間特有の感じながら動くという作業をロボットが完全に真似できるまでには、まだまだ遠い未来の話です。
もしかすると、その差はいつまでたっても埋まらない可能性もあります。
ひとつの作業に特化したロボットを作ることはできるかも分かりませんが、人間のようにあらゆることを常に感じながら体を動かし、それを学習し、他の動作につなげ、柔らかい動きも強い動きもできるようなロボットを作ることは、そう簡単なことではないということです。
いかに人間が人間社会で生きていくためには、感じる力が重要かということをご理解頂けたと思います。
実はこの感じる力が医療には絶対に必要なのです。
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