顏の皮膚や筋肉は、精神のあられだと思えることがよくあります。
私がよく問題にしている鼻や咽の異常反応と、それによって生じる身体全体との関わりですが、咽や鼻、口腔の粘膜と皮膚は関係しています。地続きですから当然の話しです。
それならば、粘膜移行部である顔面部の皮膚は、粘膜の状態をよくあらわしているはずです。
そう考えるのが自然でしょう。
顏の皮膚を軽く鍼先をあてるだけでも胃の調子がよくなり、姿勢が楽になってくる人もいます。
あくまでもケースバイケースです。
全てがそうではないし、単純に顏の皮膚を刺激しただけではそういう現象は起こりません。
そこが肝心なところです。
しかし、それがクリアされると、身体がまるごと変わってしまうような変化をします。自然治癒能力って凄いなと思える瞬間です。
顏に鍼をするとこうなるというのではなく、条件が整うと軽く鍼をあてるぐらいの刺激であってもよくなってくるのです。
常に一対一の関係性ばかりが問題視されます。なぜ、そう単純に考えられるのか不思議でたまりません。人間の身体はつながっている訳ですから皮膚の問題から胃腸に影響があってもなんら不思議はないですし、腰の痛みや膝の痛みがとれてもなんの不思議もないはずなんです。
顏に刺激をする→胃腸が楽になって姿勢が良くなるは ×
です。
しかし、ある一定の条件が整うと
顏に刺激をする→胃腸が楽になって姿勢が良くなるは 〇
になります。
だから、統計をとるのが難しいのです。いわゆる科学的データをとるのが難しいと言えると思います。しかし、それは人間をよく観察すれば当たり前の話しです。
ごちゃ混ぜになったものを傾向だけ見て、真実が見えてくるはずがありません。平均値は、あくまでも平均値です。それ以上でもそれ以下でもありませんからね。不必要と言っている訳ではありませんよ。平均値は、あくまでも平均値だと言っているだけです。
何々の条件、次の条件を満たし、更なる条件を満たした上で
顏に刺激をする→胃腸が楽になって姿勢が良くなるは 〇
なのです。
それを一対一の関係が正しいと思い込むことに大きな問題があるということです。
もちろん一対一の関係がないと言っている訳ではありません。
しかし、それで問題が解決するような例は、逆に少ないし、そんな人は、沢山ある他の病院や治療院で何とかなります。つまり平均値の治療で何とかなる訳ですからね。それは、それで正しい訳です。
わざわざ、当院を選んで遠いところから来てくれる訳です。
一対一の関係性ではなく、一対多、多対一の関係性を考慮しないとうまくいかない訳です。
様々な条件から何を選ぶかというのは、とても重要なことだと思います。
その為には、今まで培った知識が逆に邪魔になることもあることから、知識を捨てる練習をします。
その上で、知識を活用し、問題を解決していくというスタイルです。
分析するときは、余計な知識を捨て、できるだけ忠実に見る。
そして、その分析から何が得られたかを考慮しつなげていく訳です。
最初、病能を見た時は多です。これを絶対に忘れてはなりません。
それに対する一を見つけ、その一から多に導いていく。
一対一を最初から見つけようとすると、どうしても片寄った見方になってしまう。
つまり、自分の得意な分野だけに押し込めようとしてしまいます。真実は多なのに、一だと思い込むことが、逆にもの凄く苦しい訳です。
そんなことを続けても何の役にも立たないから早く知識を捨てて、多対一を見つける方法を、遠回りかもわかりませんが身につけた方がいい。そして、その技術は沢山あった方が分析がしやすい訳です。ある意味知識というのは一対一の関係のことを言っています。そうでないと学問にはなりませんからね。そこをよく考えた方がいい。
これを捨てきれない人は、やはり悩みます。私も全く同じでした。そのことについては、たぶん、どんな人よりも悩み続けただろうと思います。そして時間がかかりました。
かかり過ぎたとも思います。
今まで学んできたことを捨てる勇気は、本当に苦労しました。やっとできるようになってきたかなと思います。
そんな苦労をしてもらいたくないなと思うから、その基礎技術を公開しています。
それができるようになってきたのは、先入観なく分析する能力や、その技術が増えたからです。
レントゲンしかなかった時代からMRIやCTができ、血液検査が詳細になって解像度があがったのと全く同じだなと思います。
鍼灸師は、未だに西洋医学で起こった様々な革命が起きてないように思います。もっともっとやれることが沢山あるはずです。
その分析結果から何を連想し、何につなげて治療方針を作っていくか?
その作業をしていく努力をしないと、いつまでたっても発展はありません。
それができなければ他を批判することはできませんからね。
0コメント