また、為末氏の文章を読んでの感想です。
本当にこの人の分析能力には驚かされます。
「科学的思考とはシンプルに言えば、物事を説明しきろうとする姿勢のことだと私は考えている」
陸上の競技者が科学的であれという意味は通常の科学者が、行っている思考の仕方を取り入れなさいと言っているのだと思います。
迷信と事実の区別はどこまでいってもできない。
安易に科学的という言葉を使って科学の常識を取り入れている訳ではありません。
ここで考えさせられるのは、陸上競技者としての科学的姿勢であり、自分自身にとっての科学的姿勢のことを言っています。
陸上競技の中での常識を一歩引いた状態で観察することで、その本質が見えてくるということです。 鍼灸師にとっての常識と世間一般の常識では大きな違いがあります。
それは全ての医療現場にいる人達の常識も同じことです。
例えば椎間板ヘルニア、圧迫しているはずの椎間板が、なぜ調子の良い時と悪い時があるのか?
一般常識で考えてみると、子供でも分かりそうなはずなんですが、医療の中ではそれが常識とされてきました。
現在は少しずつ変わってきているとは思いますが、未だに椎間板ヘルニア理論というのは、根強いと思います。 このように世間一般の常識と医療者側の常識、また、東洋医学者としての常識は大きくかけ離れるもんだと思います。
一つの世界にだけこだわっているのではなく、少し引いた目線で見てみると、その本質が見えてくるかもしれません。
こういうことを、元陸上競技者である為末氏から発言されるのではなく、私たち自身がそういう目を持つ必要があると思います。それは、どんな職業でも全く同じだと思います。
一般の目で見たり、科学者の目で見たりして、範囲を調べて行くということが必要だということです。 しかし、そこで培われる実感や主観も、あくまでも個人的なものであり、世間一般にそれを知らしめすのは容易なことではありません。
そして、その自分自身の常識が、全ての人に当てはまる訳ではないと知っていなければなりません。 あくまでも自分自身にとっての常識であり、どこまで行っても主観です。
究極的な客観はあり得ない。
それがあり得ると思っている人程、迷信に陥りやすい。と私は思います。
例えば、エビデンスを追求していけば真実に近づく!!
今はそれに近づいている!!
なんて言っているのはあきらかに迷信です。
それも普通の一般常識で考えればわかることですが、そういう研究者には全く届かない。
それを為末氏は、訴えたいのだと思いまた。
大いに、私達も見習わなければならないのではないかと思っています。
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