肩の痛みで来てもらった方なのですが、よく聞いてみると8月の末に左の手首の橈骨を骨折し、最近手が後ろに回らなくなって肩の痛みを訴えるようになり来院しました。
このような場合、明らかに肩だけの問題ではありません。手首をかばうことによって肩にも問題がでてきたと考える方が適切です。
そこで手首の状態を見てみると手術痕の中央部がかなり膨れた状態で母指の関節も腫れています。
未だに回外運動が殆どできない状態です。これは手術のやり方が悪いのではなく、リハビリの問題だろうと考えました。
自分でもかなり無理やり動かしていたようです。
回外が動画を見てもわかるように正常には行われていない状態です。肘と肩で大きく代償しています。無理やりリハビリを行うと余計にひどくなります。 それが肩の動きを制限してしまったと考える方が妥当でしょう。
大事なことは手首を動かすことではなく、手首を動かそうとする意識を高めることです。約4ヶ月もの間、ほとんど動かない状態ですから、無理やり動かすリハビリがいかに効果がないかがよくわかります。
手首をゆっくり正確に数回だけ動かしていくと、腫れていた手術痕の部分も母指の関節の腫れもなくなっていきました。
予想どおり、手首の動きが良くなるだけでも肩の痛みが楽になったみたいです。手が後ろに回せるようになってきました。
鍼灸のアプローチとして手術痕の盛り上がった部分を刺激したりすることがあります。 この方法もとても効果的なのですが、この例を見てもらったら分かるように、鍼治療をしなくても手首をわずかに動かすだけで腫れが引いてくるのがわかります。
手首をわずかに動かす方法であれば、家に帰ってからでも自分自身で行うことができますので簡易的なリハビリとしては効果的だろうと思います。
いわゆるセルフケアという意味から考えても、 やり方さえ習得していただければ、十分自分自身で治療効果を上げることができると思います。
骨折の後遺症を甘く見ていると、後々、大きな障害になってしまうことが考えられます。正しくリハビリを行ってください。
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