ちょっと鍼灸の専門的な話しです。
鍼灸治療のやり方に悩んでいる方は是非読んで欲しいなと思います。
全体と局所の捉え方がしっかりしてくると明確な答えが出てきます。それが曖昧になっていると正しい答えを導き出せません。
まず半年ぐらい前から首や肩の緊張が酷く調子が悪く時々調整にこられていた方ですが、ここ1ヶ月ぐらい調子が良くなっていた。
酷い緊張ではないが、首の緊張だけあると訴えます。
さて、どんな組立をしていくのか?
問診をして弁証をしていきますか?
脈を診ますか?
腹診しますか?
それとも関節動かしたり圧痛を診たりしますか?
しかし、それを行う前に大事なことがあります。
何を見ているのか?
です。
どんな形にして、どんな状態をイメージしているのか?
ということによって出来上がるものは違います。それと同じで、どんな状態にしたいのかを考えていないと思ったものができません。
痛みをとりたいだけ?
それでは、その痛みは何からきているのかを明確にしないと駄目ですよね。つまり、何が原因でその痛みになっているのかという青写真です。これは意外にも複雑で難しい。
それとは別に全体を調えたいと考えて脉診する人もいるでしょう。
しかし、その脉診は何の脈ですか?
全身の脈?
橈骨動脈拍動部は必ず全体の脈をあらわしているの?
という疑問をもつ必要があります。
それでは全身の脈とは何?
って考えないといけません。
必ず脉診をする前に何に対して脈をみているのかということを明確にしないと正しい脉診はできません。意外にもそれができていない人が多いような気がします。つまり、どんな診察法を行って、どんな手技を行っても、何を目標にしているのかが明確でないと正しい答えが返ってこないということです。
全体の脈と言っても、様々な全体があります。どこまで影響する全体なの?
身体全体なら身体全体と関係するどこかがあるはずです。
それは肉体だけ?
メンタル面も含んだ全体?
それ以上のことも含んだ全体?
って考える必要があります。
つまり、術者がイメージしている全体を明確にし、その表現している何かを探す必要があります。
その診断ができるかできないかで、効果は大きく違ってきます。
痛いのがとれれば良いと考えた場合も同じで、何と関係して、その痛みがでているかをハッキリしないと駄目です。ということは、脈をみようが腹診をしようが、それは単なる診察方法の仕方であって、異常部位がどこにあるのかを決めていることにはなりません。脉診の上手い人は必ずそれをやっています。やっている本人が意識せずやっていることもあります。
それでは人には教えられない。だから脉診を教える人は、こういうことをしっかりわかっていないと教えられない。
組立がもの凄く大事になってきます。まずは、首や肩に問題があるかどうかを調べると、緊張はしていますが、そこに問題はありません。
問題はなくても緊張はかなりしています。つまり、緊張=悪い場所ではないということです。
なぜ緊張しているのかを考えればあきらかですよね。何かが原因で緊張している訳ですから、その緊張の原因を考えなければならないということです。全ての原因は生きていることです。死ねば原因はなくなります。その原因を完全に消し去ることはできなくても、ある程度安定させ酷くならない状態に近づけることはできます。
それでは、そうなる為には何が原因?
って考えなければなりません。
その原因を取り除く為に脉診や腹診がある訳ですが、意識を変えて、その原因は何処?
という問いかけをすると脈が変化します。腹診が変化します。そこでやっと脉診や腹診の意味がある訳です。それは関節を動かしても全く同じです。ただ関節を動かしただけでは問題解決にはなりません。
動きの癖を診断しても全く同じです。その動きが変になった理由というのがあるはずですから、それを見つけないとはじまりません。
だから緊張したところを無闇に刺激してはいけない理由がここにあります。症状がある場所が悪くないのに緊張しているという理由で刺激すると必ず身体は反発します。
緊張したところに問題がないのなら、全体から観察していくのが手順です。全体に影響を与えている部位はどこなのかを検索すると、首や肩ではなく顔面部にありました。
つまり、顔面部に手をかざすなり、刺激を与えると、全身に影響するということです。まずは、この診断ができないと、全体の治療は不可能です。そして、その全体という概念はどこからどこまでなのかを明確にしている必要があるということです。意外にもこれが曖昧になっている人が多いような気がします。
曖昧なまま、全体を調えるということを軽々しく言う人がいますが、それはどんな全体?
って考える人はあまりいません。
そこを考えなければ全体の意味すらなくなってしまいます。
0コメント