人間の身体は使わないところにエネルギーを送りません。
誰しも、そんな法則があるのをご存知だと思います。
自転車に乗れないという理由から練習しなければ一生乗れません。子供の時の早い段階で自転車に乗る練習をした方が乗れるようになりますが、きっと大人になってからでも乗れるようになるでしょう。しかし、練習をしなければ一生乗れません。
これは、どんなことにでも言えることだと思うのですが、能力を使わないと、その能力は自然に退化していくということですからね。
例えば、腰痛を起こした場合、コルセットなどをして保護したりすることがあると思います。ぎっくり腰を起こして、腰部が炎症を起こしている場合、コルセットをすることで、腰の更なる炎症を防ぐということだと思うのですが、ある意味それは正しい方法のように思います。
保護する。使わないようにさせる。ということが目的でしょう。一時的には正しい。
しかし、程度にもよりますが足関節の捻挫でも、保護して良いのは数時間ぐらいの場合があり、それ以上保護し続けると退化して治りが悪くなる場合があります。つまり、想定よりも早い段階で、使わないといけない場合が多いと思います。
今は何故か軽い捻挫でも数日間使わないように固定するようですが、退化したものを復活させるのは容易なことではありません。うまく復活させられないと、そこから様々な問題に波及していく場合もあるので、足関節の捻挫はとても重要な問題なのです。
たぶん、骨折までいかなかったけど、かなり酷い捻挫の場合、固定した方が治りが良いという判断からだと思います。
これは、軽傷であろうが重傷であろうが、重傷の人に合わせるというやり方です。軽傷の場合は復帰があきらかに遅れます。
必要以上に保護する時間が長いと、必要以上に機能が失われ退化してしまいます。高齢者になってくると、 普通の運動をしていても肩甲骨の上にある棘上筋などは、自然に切れてしまう場合があります。切れれば当然痛いので、使わなくなると、吸収されて脂肪組織になるそうです。痛いから使わないという理論は分かるのですが、必要以上に使わないことで、身体が動きを排除し制限してしまうことがあるということです。
使わないで使うという方法があるのだと思います。やり方は工夫さえすれば、難しい問題でもクリアできる可能性があります。その時に一番問題になるのが、決めつけない事と焦らない事です。
決めつけると、これはこうだからと屁理屈をこねます。
焦れば、まだ治らないのかと気持ちだけ焦ってしまいます。
やっぱり指導は大事なんだと思います。
指導者が悪いと、ついついそうなってしまうのだと思います。これは気をつけないと!!
丁寧に説明をしていかないとといつも思っています。
もちろんそれは難しい選択です。どれくらいの時間で動かして良い状態になるか?
という診断ができなければ、必要以上に休めすぎたり、必要以上に早く動かして過ぎたりして、逆に回復を遅らせてしまう可能性があるということです。
また機能回復させるための運動をやりすぎたために炎症を起こしてしまう場合があります。やりすぎてもダメ、やらなさすぎてもダメということです。
だから私は意識を動かすことを推奨しています。硬くなって動かなくなった部位は、絶対に動かさなければ機能回復は無理です。運動をしていないので局所の炎症をさらにひどくすることはありません。
そこからわずかに動かしていくということを試みます。この状態であれば、少ない力であったとしても使っている訳ですから基本的に運動不足は起こしません。 つまり廃用性萎縮は起こりません。 痛みが出るほど動かす必要はありませんが、痛みが出る方向には動かす必要があります。
この違いはとても大きいのです。 どんなことでも同じなのですが、一つ一つ階段を上っていかないと目的は達成しません。いきなり難しい問題を解こうと思っても、 それを解く準備がなければ問題を解けるはずがありません。 誰でもわかる当たり前のことだと思うのですが、できるかできないかだけを判断の基準にしている人にとっては、動くか動かないかだけの二進法的な問題としてしか判断しません。
その人がどれくらいの能力を持っているかをしっかり判断し、それに見合う問題を出していけば少しずつ理解が深まり難しい問題も解けるようになるでしょう。 その人が70%ぐらいの能力を持っていたとしても出来る出来ないで考えればできないわけです。
できないから能力がないと判断するのか、70%の能力はあると判断するのかの違いはかなり大きいと思います。 どのような判断をするのかは、術者の診断能力に委ねられると思いますが、自分を信じて僅かずつでも動かそうとするのは本人次第です。たとえ70%の能力があったと判断し、もう少し動かしても大丈夫と術者が判断していても、怖がって動かさなければ退化していきます。
この違いはかなり大きいのです。ガチガチに固まった五十肩のような場合でも、どれぐらいの動きをするのが適当かという判断をし、現時点での動かす範囲を決め、少しずつ動かしていくと早くよくなりますが、無理やり緩めて動かしてしまうと逆に治りが遅くなってしまう場合もあります。
動くか動かないかだけしか判断基準のない人の話を聞いて無理やり動かしていると炎症を何度も起こして痛みを再発し、治らなくなってしまうということもありえます。
そこで焦ってはいけない。
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