鍼治療も深い鍼を刺して、事故を起こすことは稀にあります。
首に鍼を打って、麻痺を起こしてしまったという例を聞いたことがありますが、過信していると強刺激は、ベテランでもこういう事故が起こりえるということだろうと思います。
強い刺激は、細心の注意が必要なことは言うまでもありませんが、何事もなくても人によって敬遠される場合があります。緊張し過ぎて、あまり深く打ってないのに気胸を起こす場合もあるようです。
だから肩あたりの鍼は深さだけでなく緊張を緩める細心の注意が必要なことも事実です。 もちろんベテランなら、こういう現象があることは誰しも知っていることです。しかし、事故というのは思わぬことで起こる訳です。できるだけ身体に傷をつけないで行えるのなら、そういう手技を行うことが好ましいと考えます。
深い鍼を打つことで筋肉を緩ませるというのを信じて疑わない人もいますが、私は深い鍼をしないと緩まないとは思いません。深く刺さなくても効果がでるのなら、その方法を模索することです。
それは患者さんに肉体的負担を最小限にするという意味からも重要なことだと思います。 しかし、深い鍼が効果がないとは一ミリも思ってません。時には必要なこともあると思いますが、最終手段で良いということだと思います。
実は、強刺激は、もの凄く明確な範囲の限定が必要なんですが、ベテランでも、あまりそれに気づかずにやっている人は多いみたいです。
明確な範囲の限定があると、深い鍼刺激は、劇的な効果を得ることがあります。
外科手術とよく似てます。外科手術は、そこの部分を切り取ろうというのが最大の目的ですよね。
明確な意識づけがあります。しかし、そんな例は、そう多くはありません。そこを考えると弱刺激と強刺激をうまく使い分けるということが必要になってきます。
仙腸関節や脊椎のアジャストも同様だと思いますが、明確な意識付けができてこそ行える手技です。
つまり、明確な診断ができてこそですが、なかなか明確な診断というのができる時というのは多くありません。
身体を観察しているとよくわかると思いますが、あやふやで曖昧な部分が多くあるのが生身の身体です。それをできるだけ、うまく除外して、明確な診断ができるようにする為には、様々な条件が必要になってきます。
明確になりやすい身体の人をアジャストしたり、深刺したりして、うまくいった時のことを覚えて満足するのではなく、曖昧で不鮮明な人の身体を少しずつでも明確にしていく努力をする必要があります。そのためには、様々な要素を考える必要がある訳です。
そう単純ではない。
そんな技術を習得する為の第一歩を明日は東京セミナーで披露してきたいと思っています。
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