スポーツも長くやっていると、最初は下手でも上手くなってきます。しかし、上手くなってしまうと下手だった頃の感覚を思い出せと言われても困難だと思います。
間違いなく下手だった時の経験はあるはずですが、何度もくり返して上手くなってくると、下手だった時の身体の記憶や感覚は薄れていき、上書きされてなくなっているのに気づきます。そして上手くなった時の記憶しか残っていません。
自転車に乗る練習をしていた時のことを感覚で覚えていますか?
練習をした時のまわりの風景だとか、その時に誰かに言われた言葉を覚えていたりするかもわかりませんが、最初に乗ってフラフラした時の感覚自体を思い出すことは、ほぼ不可能なんじゃないかと思います。
下手な人の真似をするのが上手いコーチがいますが、あくまでも真似であって、初心者の頃の感覚には戻れていません。 きっと私が長年習字をやっていて習字が上手かったとしたら、その習字の先生の手の感触を思い出すことはなかったのではないかと思います。
そんなふうに先生に習ったな~とは思い出すかもわかりませんが、感覚としての記憶は薄いかなくなっているので、気づかなかったはずです。
そう思うと逆に悪い「癖」も上書きすることで修正することができるということになると言うことです。「癖」は直らないのではなく、悪い癖が上手くなり過ぎたので違う「癖」を真似できないのです。
そうならないように脳が記憶するとも言えます。 ちょっとした仕草も、スポーツと同じで覚え込んだ身体の動作です。
スポーツは競技なので、相手に勝てれば、どんな「癖」がある選手であったとしても良いかもわかりませんが、日常動作とスポーツの違いがあるとは思いません。
目の前のコップをとって飲むという行為も百発百中だと思いますが、脇を開けて(体幹と肘の距離が遠い)コップをとる飲み方もあれば、脇を閉めて(体幹と肘の距離が近い)飲む飲み方も違いがあります。
そう考えるとスポーツもお茶を飲むのも一緒です。
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