右に倒れているから左へというのは、とても単純なバランスですが、バランスは関節や筋肉だけでとっていると考えるのは大きな間違いです。
内臓もバランスをとるのに大きく関与しています。
肝臓や腎臓は呼吸と共に上下します。身体が右側に側屈した時に肝臓もそのままの位置であるはずがありません。身体の動きに合わせて移動しているはずです。当然ですが、右側屈になれば右側が圧迫されるので、左側に圧力を逃がそうとします。関節や筋肉だけでバランスをとっている訳ではないというのがわかります。
もし、肝臓が硬くなって動きが鈍っていれば関節や筋肉でも当然、動きは鈍ります。内部の圧力上昇は、骨格筋の異常より大きな意味を持つと思います。当然、バランスをとる能力も低下することになります。内容物である内臓の動きをよくするということはバランス能力を高めるということにもなります。
腰痛がある方は、腰の筋肉だけが緊張していると考えている人が多いかもわかりませんが、腰だけでなく、肋骨やお腹も同時に緊張しています。これは、筋肉だけでない内容物の圧力上昇を意味するので、東洋医学では腹診を重視する訳です。
その能力を高めれば動きを改善し、バランス能力を高めることができるはずです。バランスと一口に言っても、体表面だけでなく内臓にもある訳です。つまり奥行きのバランスがあるということです。
鍼灸治療は、この奥行きのバランスをとることを得意としているはずですが、経絡や穴という概念なしに体表面から、この動きを改善することは難しいと言えるかもわかりません。
筋肉の緊張があるのにもかかわらず、そこにあるはずの経絡がないという現象があるように、経絡や穴は、その奥行きと関係しているというのはあきらかです。
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