「癖」のなりたち

例えば腰の痛みがあったとします。

前に曲げると痛みが出るとします。前に曲げないようにするでしょう。もし、前に物が落ちていて曲げないといけない時、腰を曲げないようにしながら腰以外のところを曲げようとします。 


このような状態が代償運動をしているということです。腰痛で、一番簡単な代償運動は、手や肩に力を入れて肩甲骨を挙上外転することだろうと思います。簡単に言えば肩をすぼめるような動きです。 しかし、当然ですが、それを長く続けると、腕や肩甲骨、胸椎上部に異常が出てきます。完璧に余計な動きですからね。


慢性的な腰痛の場合、腰の緊張はほとんどなく、上半身の緊張の方が強いことが多くみられるのはそのためです。首にも異常な力がかかります。上半身に力がかかるため、腰を引いて膝も曲げて前のものをとろうとします。


目的だけに囚われると、無理をしてでも目的を達成しようとします。 昨日のハンドレッドの話ではありませんが、ただ目的を達成すれば良いという考えで、体を動かし続けると当然ですが、どこかに問題が出てくるわけです。このような変化はスポーツ選手によく起こります。相手に勝ちたい。記録を伸ばしたいという目的だけに集中しすぎると、それを達成するための過程が損なわれ、何かを犠牲にしてしまうわけです。  


目的を達成することが本当に良いことなのかどうかは、その状況によって違ってくるでしょう。準備ができている場合は、目的を達成することに集中すれば良いと思いますが、準備ができていない場合は、目的を達成することに意識を向けすぎると無駄な動きをしてしまいがちになります。

このあたりがプロの選手の取り組み方と、アマチュアの選手の取り組み方の違いと言えるかもわかりません。


そんなことをしていると、怪我をする訳です。  動きが感情を伴ってしまうと「癖」になりやすくなります。腰の痛みはなくなっても、腰が痛い時と同じ動きを続けてしまえば、いつ腰痛を起こしてもおかしくない状況になります。腰痛が「癖」になると言われるのは、このような機序があるからです。それを間違えると良くなりません。


目的を達成する為に感情を使い過ぎると「癖」になりやすいということが言えると思います。 つまり代償運動を止めるためには、それに気がつくことです。気がつきさえすれば簡単にやめることはできるでしょう。そのことに早く気が付いて、感情を伴った目的だけを達成するような行動を控えるだけで健康状態は良くなるのは間違いないと思います。 

御薗治療院

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