精神的な障害でうつ症状になってしまった方が、面白いことを言っていました。
常にではないのですが、夜中に決まった時間に目が覚めてしまうことがあり、目が覚めて眠れないのを嫌がって、マイスリーをほおばってしまうそうです。 しかし、そんなことをしても何の意味もないということをよく理解しています。
本人はもの凄く理解しているんです。
それがとても奇妙だと思います。
頭ではしっかり理解できるけど、行動が伴わないということです。
自分でもおかしいと笑っていましたが、 やっぱりそんな自分をやめられないようです。
その時に私は、笑って、 「飲みたいと思う時は、絶対に飲んだ方がいい」 と言っています。
薬を飲まないように強制して、飲んではいけないよ。と言ったところで話にはなりません。それよりも、そんな弱い自分を認めながら飲んで欲しいと思っています。
そんなふうにしていると、少しずつですが、精神的にも肉体的にも変化が現れてきます。 いくら薬の害を説明し、体には悪いからということで、強制してやめさせたとしても、必ず元に戻ります。
元に戻った時には、さらに強く薬を欲しがるでしょう。 人間のこのような心理は、誰にでもあることであり、その心理を侮ってはいけません。もちろん、精神的な障害のある人だけではありません。普通の人も全く同じです。程度に差があるのでそれに気づかないだけです。
それは自分自身を観察していて本当にそう思います。 人ってそんなに強いものではないのですが、ある時に決心をすると、とてつもなく強くなります。
それまで待ってあげないと誰かが強制的に手を貸してしまうと何も変わりません。また、医学的な助言も時には強制的な助言と同じになってしまうことがあります。
正しいことは正しくない。
言われなくてもわかっているんです。本人は自分で決めたいけど、決めきれないし、決める決断をする前に人が手を貸してしまう。自分で感じなくさせてしまうということです。
だから常識的な回答をするのは暗黙の強制になります。
昨日の話ですが、駄目と言われると余計にしたくなるという心理です。そう言われ続けると弱い自分を否定し続けて余計に抜けきれなくなってしまう。 まさに地獄絵図。
医療者が、そんな人を作り上げてしまう可能性もあるので、注意が必要だなと思っています。何でお前はできないんだと言われたところで、できないものはできないのです。
それを信じて待ってあげるしかない。
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