これも攻殻機動隊のセリフです。
このアニメは、単なる未来アニメや、アンドロイドアニメではなく、今現在進行形のネット社会の現実を浮彫にしていると思えてなりません。
男
肉体を喪失しても、思考はネットを巡り、個を特定したまま、その存在を維持し続けられると?
素子
さぁどうかしら、殻を捨てた意識がネットの海で、個を特定したまま維持できるとは考えにくい
男
じゃ~、生きてなお、個を創出し続ける者にとって、この世界は絶望?
素子
何をもって絶望ととらえるかね。 とりあえず死んでみるって手もあるじゃない?
男
それもありですかね。とりあえずお礼は言っときます。ありがとう。あの約束の守り方最高にチャーミングだった。
殻(肉体)を捨てた思考だけがネットを巡って、自分という個を維持したまま居られるか?
という質問に対して、考えにくいと言っています。
この作者は、生身の肉体又は電脳擬態化された肉体を捨てた思考だけでは個を特定しにくいということをよくわかっています。 記憶とは、自分の手の感触や、その感触から得られる反射や行動も含めた全てです。単なる知識の集積なら記憶装置の一部でしかないとわかっているということだと思います。
それを承知の上で、擬態化した高性能な身体で犯人を捕まえ正義を全うするという設定が攻殻機動隊ですが、これにも大きな疑問が残ります。
昨日、フェイスブックで、この話題に返信してくれた先生が臓器を全て機械にして脳だけで個を維持することが可能なのか?
という問いかけをしてくれました。きっと、それを作者はわかっているのだと、このセリフを見て思います。
現実の電脳化というのは、きっと経絡も含む人間の様々な現象を全て網羅したものと捉えているのかもわかりません。このアニメのような世界が来るのは、現実的には、まだまだ解明されていないことが多すぎると私は思います。
更に思考だけで個を特定したまま、ネットを巡るというのは、不可能だろうと思います。少なくとも今の技術ではあまりにも遠すぎるだろうなと思います。
脳が全てを制御しているのは、否定はしませんが、肉体全てが脳の一部とならなければ、決してこのようなことは起こりませんし、その肉体が変われば、脳もそれに合わせて進化しなければなりません。
きっと何割かの擬態が進んだ時、その人の脳は破壊を迎えるのではないかと思います。なぜなら、個を特定する材料が急激に変えられるからです。 そんなことが現実に起きたら、脳と身体はつながらなくなって、脳の方が破壊を起こす可能性は大です。
未来映画やアニメでは電脳化はありえますが、現実世界では遠い未来の話しです。 しかし、臓器移植や再生医療という分野が発達することで、この問題は更に深堀されることだろうと思います。 実は今も擬態化しているのと同じ現象が起こっています。
それによって起こった人々の変化は、目に見えないようで見る人が見ればあきらかです。 擬態化によって人の思考は制御され、大きな渦となっているのではないかと思います。
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