外反母趾って足の第一指の中足指節関節の内側が腫れてます。
通常の位置より外転しているので外反母趾っていうんですよね。
この言葉が大きな間違いを引き起こしている原因なんじゃないかと私は思ってます。
外転っていうと体幹に対して横に動かす運動のことを普通言います。
典型的なのは、肩関節の外転です。(横に手をあげる動作)
体幹から外側に離れるから外転っていうんですが、外反母趾も基節骨が中足骨に対して外側に変位しているからそういうネーミングになったんだと思います。
しかし、中足骨は元ある位置から内反しています。
このことにまず気づかないといけません。
厳密には内反中足骨及び外反基節骨と言わなければならないのではないかと思います。
変な言い方ですね。
通常は内側の腫れが起こると回転しながら腫れた方と反対側に曲がります。
外反母趾もそうなっているように思います。
ところが問題があります。
昨日の中足指節関節の腫れの話しを思い出してもらうとわかりますが、足底からみると外側の種子骨あたりが腫れます。
足背側は、中足指節関節の遠位部外側が腫れているので、回転方向が逆転しているようにも感じられます。
つまり、同じ側が腫れているのではなく、足背側と足底側では腫れている場所が違いがあることで通常の腫れた状態とは違う回転が起こるのではないかということです。
同じ中足指節関節でも足背と足底で腫れる場所が違うので基節骨は中足骨に対して捻れる力が強くかかって見た目外転位になってしまうようです。
それを理解せず無理やり母指先だけ内反させても治るはずはありません。
捻れる力がかかるから、外反を内反させただけではよくならない。ということなんです。
つまり一般的な外反母趾強制グッズは無意味ということが言えます。
猫背が回旋運動を伴うから伸展させても伸びないというのと同じです。
回旋運動をして固定しているので、直線運動を強制させても絶対に動くはずがありません。
回転運動をさせながら、内反(直線運動を加える)させることが重要なのです。
それと同時に中足骨の内反を外反させなければなりません。
もちろんこれにも回転の運動が伴いますのでそれも同時に調整する必要があります。
外反母指の人にありがちな、足に体重をかけると1~5の中足指節関節がつぶれるような動きをするのをよく観察することがあると思います。
これはあきらかに指に回転運動が起こっている証拠と言えます。
回転運動は、そこだけでとどまりません。
指先にも足根骨の楔状骨や舟状骨、距骨、脛骨、膝蓋骨、大腿骨までつながっていきます。
外反母趾が起こっている中足指節関節は単なる結果です。つまり見た目に起こった結果と言えます。
外反母趾も色々あって、足だけを注意すればよくなるような機能的外反母趾のような症状の人もあれば、頭蓋骨や頸椎の調整をすることで外反母趾に影響を与えるパターンもあります。
どこから本来の歪みが来ているのかをよく観察しながら調整するということが重要なんだろうと思います。
外反母趾の構造はわかっても治療の場合には何を優先させるのかが重要な問題になってきます。
関節の動きについて考えると直線的な動きをしているように見えている単軸関節も実は回転運動を伴っていると言えます。
この事実がもの凄く重要です。
経絡が蛇行するのはあきらかにこれが理由だと思います。そして末端にくればくる程、その蛇行が強くなる。
体幹では深浅が強くでるのではないかと考えています。
単軸関節も見た目とは違い回転を伴う訳です。多軸関節に回転が伴わない訳がありません。
指先にいく程、単軸であったり固定であったりが多くなり、体幹に近い股関節と肩関節は多軸ですよね。そして体幹は制限された多軸です。それを統括しているのが頸椎であり頭蓋骨です。
頭蓋骨は固定関節ですから殆ど動きません。そういう構図になっているということです。
こういうところももの凄く人間の身体ってよくできていると思います。
複雑な構造を理解するためには単純なものの構造を理解する必要があります。
肘関節も単軸関節と思われがちですが、上腕二頭筋の内側の異常がある場合と外側に異常がある場合では伸展屈曲における位置関係が変わっています。
この記事の動画を見て貰うとわかりますが、上腕二頭筋の内側の緊張がある場合、伸展外旋方向に力をかけると筋力低下が起こります。
つまり伸展外旋方向の筋力が問題なのであって、伸展内旋方向の筋力低下はないと考えられます。
同じ肘関節であっても内側と外側は違いがあります。
異常を診る場合、できるだけ単純な場所の異常を観察することが大事です。
以前もエコーで上腕二頭筋と上腕筋の働きを解説したことがあったと思いますが、筋肉の働きも単純なものを観察すれば複雑な構造のものの理解に役立ちます。
この記事にでてくる実験結果も筋肉に対する考え方を明確化することができます。
エコーという診断器具を使って単純なものを観察した結果、このような考察が考えられるということです。
その考えを元にして筋肉が折り重なって走行している部位には必ずこれと同じ働きがあるのではないかと予測することができます。
上腕二頭筋を上腕筋が持ち上げているのと同じように交差している筋肉には上層部と下層部で筋肉の収縮する方向性が違うとも考えられます。クロスさせた方がより多くの力を出すことができます。股関節は肩関節より制限がありますが、クロスさせることで前後の動きを強化していると考えられますよね。
深層で働く筋肉が上層の筋肉を持ち上げることによってテコの原理で上層部の筋力を手助けすることができるというものです。
このことからも筋肉は単純に縮んで関節を動かすのではないということがよくわかります。
どれだけ臨床を積んだとしても縮んで筋力を出すという考えが根底にある限り、その本質を捉えることは絶対にできません。
筋肉の作用は縮んで関節の距離を縮めるだけではなく盛り上がって張力を発生させることもあると認識していなくてはなりません。
外反母趾の話しから筋肉の話しにまでなりましたが、全てはつながっています。
つながってないと考える方が不自然なので、その全貌をできるだけ知っている必要があると思います。
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