第二回目 上腕二頭筋

昨日の説明で、筋肉は縮むのではなく、回転しながら縮むのではないかということでした。

回転して距離を変えるのなら、制御もしやすく、力も出しやすくなります。


しかし、上腕二頭筋って、なぜ力こぶができるのでしょうか?

ボディビルダーが、肘を曲げて、上腕二頭筋を収縮させると、いわゆる力こぶができます。

私でも出ます。(笑)


筋肉が収縮する時、上腕二頭筋だけが力こぶができますよね。よく似た関節に膝がありますが膝を曲げても大腿二頭筋に力こぶはできません。

もし、筋肉の距離が縮んだから盛り上がったとするなら、膝を曲げた時も、大腿二頭筋は収縮しているので力こぶが大腿の後側にもできるはずです。しかし、そんなこぶはできません。

上腕の筋肉だけが、なぜ力こぶができるのでしょうか?


実は、上腕二頭筋は、大腿二頭筋より、力を制御しながら力を出す能力が必要なんだろうと思います。力を出すだけなら、筋肉を回転させて雑巾を絞った時のように距離を変えるだけでも十分だと思いますが、手は足より更に器用さが求められます。そこで上腕筋という上腕二頭筋の下にある筋肉が、上腕二頭筋を持ち上げます。

下から持ち上げることで、上腕二頭筋の距離を弓を引くような形で変えることで力を出しつつ、制御しているように思います。


その結果が力こぶという形になってあらわれるのではないかと思います。あきらかに大腿二頭筋とは構造が違い、作用が違うのがわかります。

大腿部は足ですから器用さを犠牲にできます。しかし手は器用さと強い力を両立する必要があるので、このような構造になったのではないかと私は考えています。



僅かに力を入れただけでも、上腕二頭筋より上腕筋の方が先に収縮し、容積を大きくして上腕二頭筋を持ち上げようとしているように見えます。

その結果、力こぶという形で体表面に見えるのではないかと思います。


エコー図を見てもらうと筋肉は密着し、「水」に満たされるような状態になっています。つまり隙間がない訳です。

「水」は非圧縮性の流体ですから、どれだけ圧力をかけても体積が変わることがありません。

これは、僅かな力(刺激)を加えただけで皮下全てに圧力が伝わり、筋肉内の「水」の流れも変化するということを示していると思います。

筋肉の収縮作用も重要ですが、筋肉内における「水」の作用は、直接筋肉の能力に影響すると私は考えています。

つまり、「水」の流れが正常でないと筋肉はうまく働かないということになるのではないかと思います。筋肉が損傷というイメージは、硬い繊維が切れたようなイメージを強く持つと思いますが、確かにそうではあるのですが、「水」の流れが正常かどうかによって、症状は変化します。


そのことに注目しないと症状が改善されにくいということになります。関節や筋肉を対象にして臨床を行う方は重要視してもらいたいと思います。


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