体幹を鍛える方法は立位で行うだけではありません。
仰臥位でも行えます。
まず、仰臥位で寝て下さい(上を向いて寝るということです)
この状態で、手足を全く使わずに起きあがろうとしてみてください。
肘をついたり、足で床を押したりしてはいけません。
足もあげてはいけません。手もあげても駄目です。
手足が麻痺しているような状況を仮想してみてください。
つまり、全く体幹だけしか使わない。
どうですか?
起きあがれないと思いますし、動くことすらままならないのに気づきませんか?
足や手を動かさないと体幹だけでは何もできないことがわかります。
たぶん、軽く捻ることはできても、起きあがることも難しいと思います。
寝返りすることも難しいと思います。
途中までは起きあがれても手足に力が入らないと起きあがれません。
それほど体幹の動きは手足に支えられているし、単体ではかなり制限されているということがわかります。人間の身体は手足が自由に動いてこそ体幹を支える構造になっているということの証明です。
蛇には手足がありませんが、身体をくねくね捻れさせながら自由に前に進みます。
人間は手足に力が入るようになった為に体幹を動かさなくても生活できるようになったのだと思います。体幹だけを考えたら蛇にも劣る身体だと言えなくもないのです。逆に言えば、そうだからこそ手足が発達した訳です。
体幹だけで運動することが難しいのに手足を使って体幹を鍛えるというのは理屈にあいません。
体幹を鍛えるなら、まず体幹を動かすという意味を認識すること。
これが体幹を鍛える第一歩です。
仰臥位のまま、左胸を右方向に捻ろうと思うと左のお尻と右肩あたりで床を支える必要があります。
この動きを詳細に確認しながら左右の差を感じてみてください。
体幹の動きの差により多く気づくはずです。
キチンと認識しようと思ったら、何かの動きをやめることが必要だということです。
もちろん体幹だけ使えるようになっても日常生活をスムーズにさせる訳ではありません。
体幹の動きを手足につなげるという行為が大事です。
しかし、体幹の動きは、手足を動かす初動です。この初動がうまく動かないのに手足に正しい力を伝えることは不可能です。
それでは体幹と手足の接合部は?
肩関節と股関節です。
体幹の動きを肩関節と股関節に、力をうまく伝えるようになってこそ、体幹と手足をつないで人間らしい動きを完成させることができるということです。
体幹という目新しい言葉に騙されて、その本質の動きを見極めていないから結局のところ何をやっても効果がない訳です。
そして格闘技の世界でも、「あいつは体幹が強い」などと言うから体幹を鍛えなきゃと思って、チグハグなことをして余計に怪我する身体を作ってしまう訳です。
正確には、「あいつは体幹で起こった力を手足にバランス良く伝えるのが上手い」という表現をしなければなりません。また手足の力が抜けやすいという表現をする必要があります。
慢性的な腰痛になっている人が、この仰臥位での動きをやってみると如何に腰を使っていないかが、よくわかるはずです。使っていないから痛いのだと理解できるはずです。
つまり手足に力が入っている訳です。
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