動きを作っている原因は、一つではありません。
複数あります。 その動きの原因は何と問われれば、複数と答えなければなりません。
一つの症状に対しての原因は、どんな些細な症状であっても複数あります。
怪我をした時も怪我をした瞬間と、数時間経過した時では原因の数が違ってきます。 怪我した瞬間に、その傷が、その場で元通りに戻ったら後遺症もないでしょう。 しかし、映画の世界じゃないんですから、そんなことは不可能です。
数時間もたてば捻挫でも後遺症と思われる身体の変調があらわれてきます。その変調を見逃さないことが後遺症を作らないということになります。
ただ、そこで心理的なものが必ず働きます。元々弱い部分だとそのダメージが深刻です。
例えば、普段から首の強くないことを自覚している人が鞭打ちをすると心理的にも影響がでます。元々首が弱いからと言う思いが鞭打ちの後遺症を作ってしまったりします。そういう場合、首だけでなく胸や腕の血管系に異常反応があらわれやすく、それによって左足に変化がでてきたります。
身体と心は一つと言うのなら、心理的な異常によって起こった身体の変化もできるだけ見逃さないで調整していく方が効果的です。放置しておくと、痛みがある訳ですから、それをかばう動きをするので当然ですが、他の器官にも影響がでます。
そんな単純なことを誰しもわかっているはずなのに、原因を一つだと決めつけてしまう人が殆どです。答えは一つしかないと思い込んでいると、他の回答を見つけることができません。
まずは、柔軟に、複数答えがあると理解し処置していく必要があります。
その患者さんが次回来たのは数日後です。「どうですか?」 「かなり動きが良くなって坂道を下るのも足がしっかりしてきた感じです」 動きはまだおかしいですが、あきらかに足をかわす感じが良くなっています。
私達は、患者さんがドアをあけて椅子に座るまでで、様々なことを感じます。以前の動きと今の動きでどう違うのかを見分けて、良くなっているのか悪くなっているのかを見極めることができます。
もちろん全てがわかる訳ではないので、注意深く観察していく必要はあります。 ただ、原因が一つだと決めつけて、観察するのと、原因が複数あると思って観察するのは、そもそも違いがあります。
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